
日本の国民負担率はすでに江戸時代の「五公五民」に迫り、サラリーマンは源泉徴収で搾取され続けている。国や政治家を信じても暮らしは改善せず、時間の価値すら雇う側に決められている。搾取から自由になるには、開業届を出して個人事業を始め、経費を活用し、複数の収入源を持ち、無借金で支出を最小化することが重要だ。50代からでも遅くなく、氣と運を味方にすれば、身の丈に合った小さな起業で自由と豊かさを取り戻せる。(内田游雲)
内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者(主にスモールビジネス)に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。40年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供するメルマガ【氣と経営を整える実践ノート】も発行中(無料)
日本の国民負担率は五公五民に迫り、サラリーマンは税金と社会保険料で最も損をする立場に追い込まれている。
国に搾取される社会と六公四民
『どれだけ働いても手取りは減る。国や政治家を信じていたら、人生は静かに奪われていく。』
現代日本の国民負担率47.5%であり、潜在的には62.9%に達している。これは江戸時代の「五公五民」を超える六公四民の世界だ。つまり、庶民は収入の半分以上を税金や社会保険料として奪われ、残りで暮らさなければならない。しかもこの仕組みは「努力すれば報われる」どころか、努力するほど負担が増すという皮肉を含んでいる。
特に深刻なのはサラリーマン層だ。源泉徴収という自動的なシステムによって、所得はすべて会社に把握され、税務署に報告される。そして何の抵抗もできないまま毎月の給料から差し引かれる。節税の余地はほぼゼロであり、国にとっては世界でも珍しい「取りっぱぐれのない納税装置」となっている。これこそがサラリーマンが最も不利な立場に立たされている理由である。

生活環境も厳しさを増している。実質賃金マイナスがすでに長期化し、物価は容赦なく上昇している。スーパーでは卵やパンの価格がじわじわ上がり、電気代やガス代の請求書を見るたびに溜息をつく人は少なくない。真面目に働いても「給料は増えないのに生活費ばかり上がる」という感覚は、多くの家庭に共通する現実だ。こうした状況を「仕方がない」と放置してしまえば、将来はさらに追い詰められていく。国や政治家を信じていたら終わる。それほど切実な現実が目の前にある。
さらに問題は、国の経済政策が庶民のためではなく、株主や大企業を優先している点だ。日銀の資金循環統計によれば、日本の家計金融資産のうち現金預金50%に対し、株式14%しかない。アメリカでは株式が40%を超え、株価上昇が消費を刺激する「ストック効果」が大きく働く。しかし日本では効果が三分の一程度しかない。にもかかわらず、2013年以降の政策は株価引き上げに偏った。日銀によるETF購入やGPIFによる国内株式の比率引き上げは、結果として外国人投資家や一部の富裕層を潤す方向に働いただけだった。
つまり、給与は天引きで削られ、政策の恩恵も届かない。株価が上がっても家計の消費は伸びず、生活の実感はむしろ苦しくなる。これが日本における搾取の構造である。普通に働き、真面目に暮らしていても報われない社会。それが今の日本の姿だ。
50代からの小さな起業で自由に
『経験と知恵を武器に、身の丈のビジネスを始めれば、国に搾取されない生き方は今からでも選べる。』
50代からの小さな起業は、個人事業で経費を活用し、軌道に乗れば法人化で節税を強化できる。
50代という年齢は、起業に最も適したタイミングのひとつだ。若さの勢いで突っ走る20代の起業家と違い、この年代には経験があり、人脈があり、そして「自分の強み」を理解している。無理な拡大ではなく、生活の質を守りながら必要な利益を確保する姿勢があるのも、この世代の強みだ。
起業の第一歩としておすすめなのは、個人事業主として小さく始めることだ。開業届を出すだけでスタートでき、会計や税務もシンプルで、初めての一歩には十分である。そして重要なのは、個人事業でも経費計上できるということだ。仕事に使う家賃や光熱費の一部、通信費、パソコンや文具代、打ち合わせの飲食費、研修や書籍代も立派な経費となる。サラリーマン時代にはただ「生活費」として消えていた出費が、経費として認められるだけでも大きな違いだ。
一方で、売上や利益が安定し、規模が少しずつ育ってきたら、次のステップとして法人化を考えるとよい。法人化すれば経費の範囲がさらに広がる。家族を役員にして給与を支払えば所得分散が可能になり、節税効果は格段に高まる。また、起業節税の大きな武器となる役員退職金制度を利用でき、将来の老後資金を効率的に準備できる。さらに小規模企業共済を組み合わせれば、掛金を全額控除できる。これはサラリーマンにはない経営者だけの特権だ。
ただし、拡大志向は必要ない。50代起業に求められるのはミニマリズム経営だ。固定費を下げ、借金を避け、リスクを抑えて続ける。無借金経営を貫けば、景気や政策に振り回されず、軽やかに生きられる。
そして何より、この年代だからこそ「道楽」と「天職」を重ねられる。好きなこと、得意なことを小さなビジネスにし、収益を得ながら日々を楽しむ。これこそが国に搾取されない自由な生き方である。大きな利益や規模を求めなくても、自分サイズの事業があれば十分に人生を豊かにできる。
なぜ起業が搾取から自由に導くか
『サラリーマンは税金と社会保険料で縛られる。複数収入源と無借金経営こそ、自由への突破口になる。』
起業は、給与所得に縛られた仕組みから抜け出し、複数収入源と節税で国に搾取されない基盤を築ける方法である。
サラリーマンとして働いている限り、収入は給与所得一本に限定される。そしてこの給与は源泉徴収によって完全に管理され、税金も社会保険料も自動的に天引きされる。つまり、働けば働くほど国にとって理想的な納税者となる一方、節税の余地はゼロに近い。これが「サラリーマン損」と呼ばれるゆえんだ。
一方、起業すれば収入はひとつではなくなる。ひとつの商品やサービスに頼らず、複数の収入源を持つことが可能になる。たとえば本業の売上に加えて、デジタルコンテンツの販売、オンライン講座、コンサルティングなどを組み合わせれば、収益の柱が増える。これは単なる収入増ではなく、リスク分散の意味でも大きい。ひとつの収入源に人生を預けることほど危険なことはない。
さらに、起業すれば経費計上という大きな武器を手にできる。個人事業でもパソコン、通信費、打ち合わせの食事代、研修費用は経費にできるし、法人化すればさらに範囲は広がる。経費を活用すれば、課税前に支出をコントロールできるため、結果的に手元に残るお金が増える。これが起業節税の基本であり、国に搾取されないための最初の防御になる。

また、50代以降に意識すべきは無借金経営だ。事業を拡大するために借金をすれば、一見して勢いがついたように見えるが、環境が変化すれば一気に経営は苦しくなる。景気や政策の影響をもろに受け、倒産リスクすら背負うことになる。小さく始め、必要最小限の設備で運営すれば、借金は不要だ。固定費を下げ、リスクを抑えた経営は、長く続けるうえで最も合理的な方法である。
政策の観点から見ても、起業は自衛手段となる。日本では日銀や政府が株価を引き上げても、庶民の生活は豊かにならなかった。家計資産の大半が現金預金で占められ、株式割合は14%しかないからだ。株高による「ストック効果」が働きにくい構造の中で、サラリーマンとして待っていても豊かにはなれない。国や政治家に期待するのではなく、自らビジネスを持つことでしか未来は変わらない。
起業は決して「リスクの塊」ではない。むしろ、リスクを管理しやすい働き方だ。複数収入源を持ち、経費を活用し、借金を避ければ、損をするどころか自由度は格段に上がる。サラリーマンを続けて国に搾取されるか、自らの舵を取って生きるか。答えは明らかである。
国に搾取されない実践ステップ
『経費と時間の扱い方を変えるだけで、搾取される人生から抜け出し、自由を取り戻す道は誰にでもある。』
国に搾取されないためには、経費活用と時間の主導権を握ることが最初の一歩である。
「国に搾取されない」と聞くと大げさに思うかもしれないが、やるべきことは実にシンプルだ。まずは開業届を出して個人事業主になること。これだけで、自分の支出の一部を経費として処理できるようになる。パソコンやスマホ代、家賃や光熱費の一部、通信費、研修や書籍代、打ち合わせの飲食費など、仕事に関わるものは立派な経費だ。サラリーマン時代にはただ「生活費」として消えていた出費が、税負担を下げる武器に変わる。
さらに大切なのは、時間をどう扱うかという視点だ。多くの人は「時間は誰にでも平等」と考えている。しかし現実にはそうではない。時間には値段が付いており、私たちは常にそれを売買している。サラリーマンはお金をもらって時間を売る。だがその値段を決めているのは会社であり、時間価値は自分で決めていない。つまり、時間の価値を決めているのは雇う側なのである。一方で、自分で事業を持てば、外注や仕組みを利用してお金を出して時間を買うことができる。時間の主導権を握れるかどうかが、搾取されるか自由になるかの分かれ道だ。
ここで忘れてはいけないのは、国や政治家を信じてはいけないという事実だ。過去30年以上、日本の政治は国民を豊かにするどころか、実質賃金を下げ続け、社会保険料や税負担を重くしてきた。結果として、普通に働く人ほど生活は苦しくなり、将来不安ばかりが増した。国に頼れば救われるという幻想は、すでに崩れている。自分の時間とお金の主導権を自分で握らない限り、搾取の流れは止まらない。
経営の本質は節税のテクニックよりもむしろ、支出を抑え、事業を長く続けられる体質をつくることにある。そこで必要なのがミニマリズム経営である。大きなオフィスや高額な設備は不要だ。必要最小限で始めれば、固定費を抑えられる。さらに無借金経営を徹底すれば、景気や政策に振り回されずに済む。借金を背負えば自由を失うが、身軽であれば環境が変わっても柔軟に対応できる。
ここで改めて強調したいのは、多くの人が「雇われる道」を選んでしまうという事実だ。日本人の約90%がサラリーマンとして時間を切り売りしている。これは国にとって理想的な税収装置であり、取りっぱぐれのない仕組みだ。だが同時に、人生の主導権を会社に預け、自分の時間を安く売っているということでもある。だからこそ、残りの10%に踏み出す勇気が必要なのだ。
社会の搾取から自由になるために
『搾取されるか、自由を選ぶか。その分かれ道に立ったとき、答えを出せるのはあなただけだ。』
50代からの起業は、国に搾取されない生き方を選び、自分の時間と人生を取り戻す現実的な道である。
まず押さえておきたいのは、国の仕組みは簡単には変わらないということだ。税金や社会保険料は今後も上がり続け、年金や福祉は削減される。政治や制度に期待しても、過去30年が証明したように私たちの暮らしは守られない。だからこそ、自分の人生の舵は自分で取るしかない。
ここで比較すべきは「起業のリスク」と「雇われ続けるリスク」だ。多くの人は前者を恐れるが、実際には後者の方がはるかに大きい。給与は天引きで削られ、節税の自由もなく、時間の価値は会社に決められてしまう。長く勤めても報われない仕組みに身を委ねることこそ、本当のリスクである。

では、どうすれば長期的に自由を守れるのか。その答えはシンプルだ。複数の収入源を持つこと、無借金経営を貫くこと、そして支出を最小化すること。この三つの基盤さえ押さえておけば、どんな不況や制度変更にも揺らがない。ひとつの収入に依存せず、借金に縛られず、支出を抑えて生きることで、自由と安心は自分の手でつくり出せる。
そして最後にもう一つ。人生を支えるのは数字や制度だけではない。氣と運を味方につけることだ。心身を整え、流れを読み、人との縁を大切にする。これは50代からの起業にこそ必要な視点であり、経済合理性だけでは測れない「巡り」を生み出す。拡大を追わず、身の丈に合った経営を続けることで、結果として幸福と豊かさが増していく。
50代からでも遅くはない。むしろ今だからこそできる経営がある。国に搾取されない生き方は特別な人だけのものではなく、誰にでも選べる。必要なのは「自分で舵を取る」という覚悟だけだ。
国や政治家に期待しても生活は変わらない、だからこそ私たちは自ら起業し、経費を活用し、時間の価値を自分で決め、複数の収入源と無借金経営と支出最小化を基盤に据え、氣と運を味方につけながら、50代からでも堂々と国に搾取されない自由な人生を歩むことができるのである。