常に大量消費境の洗脳を受け続けている

私が経営者にミニマリズム(最小限主義)を推奨する理由

私は、経営者にミニマリズム(最小限主義)を推奨している。なぜなら、できる限り金を使わないようにすることが経営者が豊かになるためには重要だからである。もちろん誰でも、「使う金は収入より少なくすると生き残れる」というのは知っている。しかし、この社会は節約させるどころか、逆にどんどん金を使わせようとする。金がなくても、借金(カードも含む)してでも、使わせようと必死に洗脳する。こうした未来の金を使わせる社会は、常に金が足りなくなるという厳しい現実を突きつけるのだ。(内田游雲)

社会は金を使えと囁き続ける

人々は「使う金は収入より少なくすると生き残れる」というのは知っている。
本当は誰もがそれを知っている。しかし、この資本主義社会はそれを守らせないために、ありとあらゆる手法で私たちに過剰に金を使わせるように仕掛けてきている社会である。

これはビジネス経営者(社長)であっても例外ではない。いや、むしろビジネス経営者(社長)のほうが、更に大きな金を使わせようとする力が働いている。金がなくても銀行が金を貸して、借金してでも金を使わせようとすることだ。

借金してでも金を使わせようとする現代社会

節約させるどころか、逆にどんどん金を使わせようとする。それは「資本主義の親玉が企業である」ことから起きている現象だ。企業は儲けるために金を使わせる必要があるので、私たちに節約させないように広告から営業まで含めてあらゆる手法で私たちを揺さぶってくる。そして金を使わせる。

じつは多くの経営者が、この世界はそういう社会であることを知っているが、知らず知らずのうちに金を使うように洗脳されていることに気づいていない。社会に散りばめられた、様々なメッセージがひたすら金を使わせるように囁き続け、洗脳されてしまっているのだ。

社会の本音は浪費しなさい

こうした目で社会を眺めると、街のあちこちに巨大看板があって、それが消費者金融の宣伝であることは、資本主義社会のひとつの事実を私たちに教えてくれているのが分かるはずだ。

それは、社会の本音は「節約しなさい」ではなく「浪費しなさい」の側にあるということだ。
必要のない物もどんどん買わせる。
見栄を競わせ、節約なんかさせない。
金がなくても借金させて金を使わせる。
これが、資本主義社会の本当の顔なのである。

人は金をどんどん使う方向に行動する

こうした金を使わせようとする力は、社会だけにあるのではない。それは、あなたの心の中にも潜んでいる。基本的に、人は金を使うことが好きだ。なぜかというと、それは気持ちいいからだ。

なぜ気持ちいいかというと、そこにはいろいろな側面がある。
お店の人がちやほやしてくれる。
金を払うことで、自分の自尊心が満足できる。
商品を身に付けたら、周りからすごいと思われそうでワクワクする。
未来の夢の実現の為に、必要だと思い込む。

とにかく、こうした多くの感情が渦巻いて、金を使うことに人は快感を覚えるのだ。だから、意識してコントロールしないと、人は、金をどんどん使う方向に行動することになる。これは経営者であっても例外ではない。

「そんなことは、ない!
 私は、必要だから買うんだ」

そう思うかもしれないが、よく心の中を見てみることだ。必要だと思ったことも、自分の心が作り出した思い込みや言い訳であることのほうが多いのだ。

冷静に心の動きを観察してみればいい。そして、本当に今必要なのかどうかをしっかりと考えることだ。これだけで、余分な金があまり出ていかなくなる。

期待値は現実よりも大きい

金を使わせようとする力の一つは、何かが欲しいと思った時の期待値が、現実より大きく膨らむことにある。

「これを買ったらどれだけ幸せになるのだろう!」
「どれだけかっこいいんだろう」
「この設備投資は、大きなリターンを生むに違いない」

こうした気持ちは、商品を手に入れた時の実際の感覚を大きく上回る。こうした感覚は、現実によるものより、想像することで味わうもののほうが大きくなる。こうして、とにかく金を使わせるように行動を駆り立て続ける。その商品を購入するまで、この感情は膨れ上がるのだ。

期待値との落差こそ金を使わす見えない力

しかし、実際に商品を注文した瞬間からこうした期待感は萎んでいく。実際にその商品が手に入るころには、当初の期待感の1/3になってしまうなどということもしばしばだ。誰もが買う時までのワクワク感が実際に手に入れてみたら、小さく萎んだ経験があるだろう。

つまり実際には、その商品の価値よりも手に入れようとするまでの価値のほうが、はるかに大きい。この落差こそが、金を使わそうとする見えない力なのだ。

未来の金も使わせようとする

本来は、金というものはなくなってしまえば、それ以上使えないものである。しかし、この社会は、「金がない」と言っても許さない。

今、金がないなら、未来の金を使えと迫ってくる。つまり、今の金だけではなく、未来の金まで使わせるのだ。これが、クレジットカードのような信用市場である。車や住宅のローン、クレジットカード、各種のリース、携帯電話の分割払い、保険、どれをとっても、未来の金を使わす仕組みである。

こうした未来の金を使わせる社会は、業績が右肩上がりの時は問題が表面化しないが、一度これが止まってしまうと収入は上がらず借金の返済だけが残ることになる。

未来の金を使わせる仕組みは、常に金が足りなくなるという厳しい現実をある日突然に突きつけるのだ。

現代資本主義社会の「ホンネ」

金がなくても、どんどん買わせる。節約なんか絶対にさせない。
それが現代資本主義の「ホンネ」であり、だから社会は敢えて人々に「金の教育」をしないようにしているようにも見える。

下手に金の教育などして、大勢が「金といかに接するか」を学んで「節約が資本主義で生き残る最も有効な手段」という事実を覚えてそれを実践されたらモノが売れなくなってしまうではないか。すべての企業にとって金融リテラシーに長けた個人は社会の敵なのである。

ミニマリズム(最小限主義)で生きる

誰もが普通に暮らしているのであれば、必ずその罠に落ちてしまう。まずこうした現代の仕組みに対して強い自制心で抵抗し、金が出ていかないように、しっかりとコントローする必要があるのだ。いくら商売が上手く行って大金が入ってきたとしても、その大金を湯水のごとく使っていたらゼロになる。

支出は常に収入よりも少ない状態にする。一過性ではなく、恒常的にそうする。それが「節約する」という意味である。いかにして消費の洗脳から逃れるかが、経営者にとって重要な項目となる。
これが、私が経営者にミニマリズム(最小限主義)を推奨する理由だ。

内田游雲
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