起業は人生に意義や満足感を与える一方で苦労も多いとされるが、実際には自営業者の方が幸福度が高い。大企業に所属しても必ずしも安定は保障されず、企業が求めるのは安価な労働力である。だからこそ、自分の価値を高めて複数の収入源を持ち、自立することが大切だ。会社に依存しない働き方を模索し、自分の強みを活かすことで、収入と充実感を得られる。自分の価値を高めることで、生き方も収入も大きく変えられる(内田游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
かつては、学校を卒業して企業に就職し、定年まで安定した生活を送るという人生プランが「当たり前」だった。
しかし現代では、リストラや企業の急な方針転換など、自分の意思とは関係ないところでキャリアが左右されるケースが増えている。
大企業だからといって、必ずしも安心とは限らない時代だ。
「自分の価値を高める」時代
それでも多くの人が、
「会社勤め=安定」
「起業=リスクが大きい」
というイメージを抱いている。
起業や自営業は、
「いつもお金に困っている」
「すぐ倒産しそう」
こうした先入観が拭えないのだろう。
だが、実際に自営業者は大企業の従業員よりも幸福度が高いというデータがある。
PwCの調査では、大企業に勤める人が「仕事に満足している」と答えたのは約27パーセントにとどまるのに対し、スモールビジネスの経営者は43パーセントにのぼる。
また、『MBO Partners 2016年度独立事業の実態』によれば、独立した労働者の81パーセントが「独立してより幸せになった」と回答している。
「自営業=苦しい」
というイメージとは裏腹に、実際には高い満足感を得ている人が多いわけだ。
その背景には、
「自分の足で立ち、自分の価値を高める」
こうした過程で得られる大きなやりがいと自由がある。
今や「自分の価値を高める」ことこそが、時代を生き抜く重要なキーワードになっているのだ。
自営業者の幸福度が高い理由
それでは、なぜ自営業者のほうが幸福度が高いのか。
理由は大きく二つある。
一つ目は、自立性だ。誰にも命令されず、自由にやりたいことを決められるというのは大きなメリットだ。
もちろん責任は伴うが、決定権があるぶん自分のやり方を追求できるため、納得感も高まる。好きな時間に仕事を進めやすいという柔軟性も、幸福度を上げる要因になっている。
二つ目は、仕事の成果が自分にダイレクトに返ってくる点だ。
会社に勤めていると、どれだけ頑張っても成果が給料に十分反映されなかったり、評価が不透明だったりすることがある。
だが、自営業であれば自分の実力や工夫次第で収入が上がり、社会への貢献度もダイレクトに感じられる。
成果がそのまま「自分の価値」に反映されるのだ。
さらに興味深いのは、自営業のほうが心身の健康を保ちやすいというデータもあることだ。
ストレスが多いから健康を損なうどころか、むしろ満足度が高まるぶん、結果的に健康状態にもいい影響が出ている。
自分で考えて行動する喜びが、やりがいや幸せにつながるのだろう。
起業に消極的な現代日本人
日本の開業率は4~5%程度と、欧米の半分ほどにとどまっている(中小企業白書2016)。グローバル平均では「起業したいとは思わない」と答える人が53.1%なのに対し、日本では約70%が起業に消極的だというデータもある。
背景には、「学校を卒業したら会社に就職するのが当たり前」という社会的常識がある。起業するのは一部の特別な人だけと考えられがちで、「普通に就職しないと生きていけない」と思い込む人が多いのだ。
しかし現実には、安定とされてきた企業が突然リストラを決行することも珍しくない。特に大企業では、数千人単位のリストラがニュースになることすらある。企業はコスト削減のために人件費を抑えたいという思惑がある以上、どんなに資格やスキルを持っていても「より安く雇える人材」が優先的に採用される傾向がある。
つまり「雇われていれば安泰」という時代は終わりを迎えているのだ。学校を卒業したら就職するしかない、という常識自体がもう古い。自立して生きていかなければ、いつか大きなしっぺ返しを食らう可能性がある。
自立がもたらす本当の安心感
「自営業は大変」
「いつもお金に困っているんじゃないか」
そんな不安を抱く人は多い。
だが、実際には「雇われている状態」のほうがリスクは大きいかもしれない。
なぜなら、雇われているかぎり、自分の運命を他人に委ねている状態だからだ。
企業にとっては従業員はコストのひとつであり、経営判断次第でいつでも切り捨てられるリスクがある。大企業であってもリストラが当たり前のように起こり、ある日突然職を失うことすら珍しくない。
一方、自営業であれば、すべてが自分次第である。
最初は大変だが、軌道に乗りさえすれば、
「稼ぎ方は自分でコントロールできる」
という圧倒的な自由を手に入れられる。
誰かに頼るのでなく、自分の価値を高めることで収入を得るスキルを磨けば、逆に「いつでもどこでも稼げる」強みを持つことになる。
今はインターネットが普及し、起業のハードルはかつてより格段に下がっている。SNSやオンラインマーケットなどを活用すれば、初期費用をあまりかけずにビジネスを始めることも十分可能だ。時間をかけて自分のファンを増やし、複数の収入源を確保することも難しいことではない。
企業の本音と雇用の現実
経営者が求めるのは、
「安い労働力」であり、
「合理化と効率化」だ。
人件費は企業にとって大きなコストなので、ここを削減すれば利益が増え、競争力も高まる。だからこそ、外国人労働者を含む、より安い賃金で働いてくれる人材が選ばれやすい。
「資格があれば高い賃金がもらえる」
というのは、すでに過去の常識になりつつある。
もちろん資格やスキルがあれば雇われやすくなる可能性はあるが、待遇アップにつながるかどうかは別問題だ。
企業としては、資格やスキルがある上で、いかに安く、長時間働いてくれる人が優先される。
結局のところ、企業に頼りきる働き方はリスクをはらんでいる。
自分の人生のコントロールを他者に握られているため、いざというときに対処しにくい。だからこそ、「自分で稼ぐ力を身につける」ことが、いまの時代ではますます重要になっている。
自分の価値を高め人生をデザインする
「自分の価値を高める」というのは、自分の得意分野やアイデア、経験を活かして、他人に提供できる価値を最大化することだ。
それがオリジナルの商品であれ、サービスであれ、情報発信であれ、あなたが「誰かの役に立つもの」を形にすれば、それが収益につながる。
会社に勤めること自体は悪ではない。
ただし、そこに依存しきってしまうことが問題だ。
自分の時間を切り売りして給料を得るだけの人生では、突然のリストラや経営不振で収入が途絶えるリスクにいつも怯えることになる。
だからこそ、同時に複数の収入源をもつことや、いつでも独立できるスキルを磨くことが望ましい。
「何をすればお金が手に入るのか」
この問いを真剣に考えて行動に移す過程こそが、自分の価値を高める近道である。
失敗を恐れて行動しなければ、何も変わらない。
むしろ失敗したとしても、そこで得た学びがあなたの価値となり、次のチャンスにつながっていく。
インターネットが普及した今、誰でも低リスクで起業や副業を始められる時代になっている。最初から大きな利益を得ようと焦るより、まずはスモールステップで始めてみるのもいいだろう。
やり方さえ間違えなければ、失敗のリスクは低く、高い可能性を秘めている。
最終的には、「自分の価値を高める」ことに日々取り組む人が、より自由に、より充実した人生を送れる。
いつまでも、
「誰かが守ってくれる」
「会社が面倒を見てくれる」
と思い込むのではなく、自分自身の力で人生をデザインしていくのだ。
やるか、やらないかは自分次第である。
起業や副業という選択肢に対して、
「難しそう」
「失敗が怖い」
と感じるかもしれないが、本当はその先にこそ高い幸福度と健康、そして自立したライフスタイルが待っている。
人生は一度きりだ。自分の価値を高め、価値に見合った収入を得て、あなたの力で未来を切り開いていけばいい。
誰かに頼る生き方をやめて、自分の足で立つ覚悟を持つことが、これからの時代を幸せに生き抜く最大のカギになる。