六公四民の現実を逆手に取る小さな会社の賢い戦略

身の丈経営で資産形成と自由を確保する

日本の国民負担率はすでに47.5%、潜在的には62.9%にも達し、江戸時代の「五公五民」より重い「六公四民」となっている。サラリーマンは源泉徴収により節税の余地がなく、社会保険料も重くのしかかる。この搾取構造から抜け出す方法は、起業して経営者になることだ。法人化すれば経費を活用でき、税負担を最適化できる。拡大志向を持たず、身の丈に合った経営で資産形成と自由な時間を確保することが、豊かな人生への現実的な道となる。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者(特にスモールビジネス)に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
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現代の日本に生きる我々は、気づけば毎月の給料から何割も税金や社会保険料を引かれている。その割合は、すでに国民負担率47.5%。つまり、あなたが一生懸命稼いだ給料のうち、ほぼ半分が問答無用で国に持っていかれるということだ。

なぜ日本は税金が高いのか?

現代の日本に生きる我々は、気づけば毎月の給料から何割も税金や社会保険料を引かれている。その割合は、すでに国民負担率47.5%。つまり、あなたが一生懸命稼いだ給料のうち、ほぼ半分が問答無用で国に持っていかれるということだ。

日本(というより日本の財務省)以外に、「潜在的国民負担率」といった統計を公表している国はない(そもそも意味がないから)。つまり、財務省はこれからまだまだ国民負担率を上げようと考えているという事実に驚かざるを得ない。

1970年には25%程度だった負担率は、じわじわと増え続け、いまや倍近い。この現実を「なんだか苦しいな」で済ませてはいけない。さらに驚くのは、財務省が公表する「潜在的国民負担率」。これは財政赤字を含めて計算する、いわば“未来の請求書”だが、その数字は2020年で62.9%。もはや税金というより、“ほとんど上納金”に近い。

ここまで来ると、さすがに江戸時代の農民もびっくりだろう。当時の農民は、収穫した米の六割で暮らす「四公六民」が基本だった。ところが、八代将軍・徳川吉宗が享保の改革で「五公五民」に引き上げたことで、農民の負担は一気に増し、一揆などの反発が爆発的に増えることになった。そんな重税の時代を超えて、現代の我々はさらに酷い「六公四民」の世界に生きている。つまり、現代人のほうが重税に苦しんでいる。なのに暴動ひとつ起きない。これこそが“優等国民”日本人の証明かもしれない。

国はなぜここまで国民から税金を吸い上げられるのか。それは、サラリーマンという制度の巧妙な仕掛けにある。所得をすべて会社が把握し、源泉徴収という名の「自動徴税システム」で、文句も言わせずに取り立てているからだ。

そして忘れてはいけないのが、社会保険料の存在。これはもう税金と呼んでも差し支えない強制的な徴収である。健康保険、年金、介護保険、雇用保険と、あれもこれも差し引かれ、手取りはスカスカ。そのうえ、使える制度かといえば、必ずしもそうとは言いがたい。

財務省が「負担を上げます」と言わず、「制度を見直します」と言えば、それはたいてい“搾取を強化します”の裏返し。真面目な国民ほど、疑問も持たずに従ってしまうが、そろそろこの構造に目を覚まさないといけない。

国にとって理想的な納税者とは、文句を言わず、年収がそこそこあって、家や車にローンを抱えており、会社に逆らわないサラリーマンである。そして実際、2022年時点で89.9%の人がサラリーマンという数字が、それを裏付けている。

このままでは、せっかく頑張って働いても、人生の質は下がる一方。長生きすればするほど負担が増える仕組みになっているのだから、ここで一度、自分の人生と向き合い、どの土俵で戦うかを選び直す時期に来ている。

サラリーマンが一番損をする社会

サラリーマンがいかに損なポジションにいるかを、もう少し具体的に見ていこう。まず押さえておきたいのは、サラリーマンという働き方には、ほぼ節税の余地がないという事実だ。給料から税金も社会保険料も問答無用で天引きされる。源泉徴収という名の“お仕置きシステム”が、見事に機能しているからだ。

この源泉徴収制度は、国にとっては実に都合がいい。所得は100%会社が把握し、税務署にご丁寧に報告してくれる。本人の意思など一切不要。文句を言う暇すら与えずに、毎月きっちり引かれる。この仕組みのおかげで、日本は世界でもトップクラスの「取りっぱぐれのない」国となっている。

しかも、サラリーマンが払っているのは税金だけではない。社会保険料という名の“第二の税金”がしれっと混ざっている。健康保険、年金、介護保険、雇用保険、ずらりと並ぶこの面々は、あなたの手取りを着実に削っていく。実質的には、これも税金と変わらない。名称を変えて、国民の抵抗感を下げるという技術だけが優秀だ。

給料が上がっても負担が増え自由は遠のくばかり

それでいて、受け取れる年金額はどんどん減る。高齢化社会が進む日本では、もはや「払った分は戻ってこない」というのが当たり前になりつつある。それでも払わされるのだから、これはもう“国が仕掛ける合法的ねずみ講”といっても過言ではない。

さらに拍車をかけるのが長期住宅ローンだ。多くのサラリーマンが、老後の安心のためと住宅を買い、30年ローンを組む。しかし、住宅ローン減税の恩恵を受けたとしても、税金・社会保険料・利息のトリプルパンチで、実際には負担は重いままだ。

こんな状況で、果たして自由な人生が描けるだろうか。しかもこの仕組み、最初から「逃げられない設計」になっている。会社員というシステムが、そのまま“税収装置”として完璧にデザインされているのだ。

問題は、ほとんどの人がこれに気づかないか、気づいても「仕方がない」と思ってしまうことにある。しかし、その「仕方がない」が、あなたの人生の質を確実に下げていく。給料が上がっても負担が増えるだけ、自由は遠のくばかりだ。

起業こそ最大の節税対策である

ここまで読んできて、「じゃあ、どうすればいいんだ?」と感じたあなたへ。その答えは実にシンプルである。サラリーマンを卒業し、起業して経営者になることだ。これこそが、税金・社会保険料地獄から抜け出す、現実的かつ合法的な最短ルートである。

まず、法人税率を見てみよう。中小企業であれば、所得800万円以下の部分に対して約15%。個人の所得税の最高税率45%(住民税を入れると55%)と比べれば、その差は歴然である。さらに法人なら、必要経費として認められる支出の範囲が広い。家賃、通信費、クルマ代、交際費、学びのための書籍やセミナー費用も経費計上できる。

つまり、個人なら「生活費」としてまるごと税引き後の手取りから払わねばならないものが、法人なら「必要経費」として課税前に差し引ける。この差が、じわじわと効いてくる。小さな積み重ねに見えて、その合計額はとんでもなく大きい。

そして何より、経営者であれば自分の報酬をコントロールできる。必要以上に報酬を上げず、法人に利益を残しておくことで税負担を最適化できる。これが「給与所得者」と「経営者」の決定的な違いだ。サラリーマンは会社が勝手に年収を決め、税務署が勝手に天引きする。経営者は自分で額を決め、自分でコントロールする。主導権がまるで違う。

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さらに付け加えると、法人化することで退職金を積み立てることもできる。これがまた節税になるし、老後資金としても非常に有効だ。個人で積み立てるのと比べて、法人からの退職金は税制優遇が大きい。これを活用しない手はない。

法人化すればすべてがバラ色かといえば、もちろん注意点もある。帳簿の管理、税務申告の手間などは発生する。しかし、そこは税理士に任せてしまえばいい。月数万円の顧問料で、あなたの時間と心の余裕が買えるなら、これは高い買い物ではない。

何より大事なのは、「自分がどこで金を稼ぐか」を主体的に選ぶことだ。税金や社会保険料の話を聞いて「仕方がない」と嘆くか、「じゃあどう回避する?」と考えるか。この一歩の差が、未来を大きく変える。起業はその選択肢のひとつであり、そして最も現実的な選択肢である。

起業のリスクを徹底検証する

「起業なんてリスクが高すぎて無理だ」と考える人は多い。特に50歳を過ぎてからの挑戦となると、なおさらそう感じるかもしれない。しかし、ここで冷静に問いたい。果たして本当にそうだろうか?

日本は、世界的に見ても社会保障が充実した国である。生活保護、国民健康保険、国民年金といったセーフティネットがきちんと整備されている。起業して失敗しても、いきなり路頭に迷うようなことはまずない。この事実を、もっと多くの人が知るべきだ。

仮に、ビジネスがうまくいかなくなっても、家賃の安い地域に移住し、生活保護を受給しながら再起を図るという選択肢がある。しかも地方によっては、一万円以下の家賃で住める家があったり、食料の配給や支援制度が整っている地域も少なくない。

こうした現実を見れば、むしろ日本においては「失敗しても死なない社会」になっている。失敗することより、何もしないことのほうがよほど大きなリスクだ。

人生の質を保ち経営者として自由に生きる

そもそも、サラリーマンとして住宅ローンや教育費を抱えたまま「六公四民」の世界に居続けるほうが、よっぽどハイリスクではないか。税金と社会保険料に追われ、年金額は下がり続け、老後資金も不足。これが本当に「安全な選択」なのか、改めて考えてほしい。

また、起業といっても、何もいきなり大きな会社を作る必要はない。小さく始めて、少しずつ育てていけばいい。むしろ、最初から拡大を狙わず、身の丈に合った事業をコツコツ続けるほうが、リスクは格段に低くなる。

「好きなことを仕事にしたい」「道楽の延長で商売したい」という動機でもいい。それがむしろ長く続けるための秘訣になる。無理に市場を広げたり、人を雇ったりしなくても、必要最小限の規模で利益を確保できる。それでこそ、人生の質を保ちながら、経営者として自由に生きられる。

さらに、起業しているからこそ可能になる「経費」という武器もある。仕事に必要な道具や研修費用、打ち合わせの食事代なども経費にできる。これがあるだけでも、心理的な余裕はまったく違ってくる。

結論を言えば、日本における起業のリスクは限りなくゼロに近い。むしろ、サラリーマンとして搾取され続けるほうが、リスクは大きい。その仕組みに気づいた人から、賢く土俵を変えていけばいい。

国の搾取から自由になる方法

ここまで読んで、「じゃあ、具体的にどうやって搾取から抜け出すのか?」と身を乗り出したあなた。その答えは、起業という選択肢をしっかり活用し、国の仕組みを逆手に取ることにある。必要なのは、難しいテクニックではなく、制度を知り、それを正しく使うことだ。

まず最初にできるのは、社会保険料の負担を減らすために法人化すること。法人にすれば、代表者報酬を適正に抑えつつ、法人に利益を残す形で社会保険料をコントロールできる。高すぎる報酬を自分に設定しなければ、健康保険・厚生年金の負担も最小限に抑えられる。

次に、法人にすることで「節税できる経費」の範囲が格段に広がる。必要な備品、打ち合わせの費用、移動や通信費、さらには学びのための書籍やセミナー代も経費にできる。個人の財布から出すと痛い出費も、法人の経費なら税引き前で落とせる。この違いが、長い目で見れば大きな差を生む。

さらに、法人に利益を残しながら、役員退職金を計画的に積み立てる。退職金は税制優遇が大きく、老後資金としては極めて有効だ。この制度を使いこなせば、個人で貯金するよりも効率的に資産形成ができる。

また、節税対策として、少人数私募債や企業型確定拠出年金(401k)、小規模企業共済などの制度も活用できる。これらは、経営者ならではの特権ともいえる。しっかり仕組みを理解しておけば、毎年の税負担を合法的に大きく減らすことができる。

ここで大切なのは、無理に売上を増やそうとしないこと。身の丈に合った経営を続け、必要以上に拡大を志向しないほうが、リスクは低く、税負担も抑えられる。売上を大きくすることよりも、いかに利益を守るかが経営の要だ。

つまり、国の仕組みは変わらない。しかし、その仕組みを知っているかどうかで、払う税金も社会保険料もまったく変わってくる。知らなければ「六公四民」のままだが、知って活用すれば「二公八民」への道が開ける。

50歳からの起業で人生を豊かに

50歳を超えたあなたにこそ、起業は一番ふさわしい選択肢である。その理由は単純だ。経験も人脈もある。世の中の仕組みもわかっている。若い頃のように無謀な拡大志向もない。この条件は、実は起業家として最強の武器になる。

若さの勢いで突っ走る起業家は、勢い任せに勝負しがちだ。しかし、経験を積んだ経営者は「どこで勝負するか」「どこで引くか」を冷静に判断できる。これは歳を重ねた者の特権であり、最大の強みだ。

さらに、50代以降は「人生の質」を重視する視点が自然と育っている。無理して事業を拡大するよりも、必要な利益を確保しながら、自由な時間を増やす経営ができる。このバランス感覚こそが、あなたを豊かにする。

税金と社会保険料に追われる働き方から、税制を味方につけた自由な経営へ。そのためには、何より「自分のビジネスを持つ」ことが鍵になる。起業はその第一歩だ。大きくする必要はない。むしろ、拡大しない経営のほうが安心して長く続けられる。

また、この年代だからこそ「好きなことをビジネスにする」という選択もできる。道楽の延長線上で仕事をする、いわば“天職”としての起業だ。無理に市場に迎合せず、自分の強みを活かした小さな商いができる。これが結果的に、税金負担も抑えつつ、人生を楽しむ秘訣になる。

資産形成についても、経営者の立場なら選択肢は広がる。役員退職金、確定拠出年金、小規模企業共済など、法人の制度をフル活用すれば、老後資金への備えはサラリーマン時代よりも格段に有利になる。税金を最小限に抑えつつ、安心できる未来を築けるのだ。

そして何よりも大切なのは、「仕事を通じて自分らしく生きる」こと。誰かに雇われるのではなく、自分の判断でビジネスを動かし、自分の人生をデザインする。これこそが、搾取されない生き方の本質である。

50歳を過ぎてからの起業は、決して遅すぎる挑戦ではない。むしろ、今だからこそできる経営がある。知恵と経験を活かしながら、身の丈に合ったビジネスを楽しみ、税金地獄から抜け出し、人生の質をぐっと上げていこう。

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