資本主義の特徴は自由競争社会にある

ビジネスが失敗しやすい理由は自由競争社会にある

資本主義社会の特徴は、自由競争社会である。巨大な権力や巨大な資本を持った存在は勝ちやすく、中小企業や個人事業者は圧倒的に負けやすいのは誰が考えてもわかるはずだ。自由競争で生き残るために戦わない経営戦略「スモールビジネス戦略」が必要となるのだ。(内田游雲)

現代日本社会は、徹底的な資本主義社会だ。 この資本主義社会の特徴は、自由競争社会であるということである。 私たちは、自由と聞くといかにも良いことにように聞こえるが、この自由競争社会ということを簡単に考えてはいけない。 ビジネス経営が失敗しやすい理由は、資本主義のもう一つの側面が自由競争社会であるということにあるからだ。

ビジネスは公平でも平等でもない

ゲームやスポーツでは、競争が成り立たせるために、両者の差をなるべく平等にするという配慮があり、さらにフェアプレイも要求される。

世の中のすべてのゲーム、すべてのスポーツは、参加者全員が、まず最初に対等の状態になることからスタートする。カードゲームでは同じ枚数が配られるし、駒は同じ数の駒が配られる。

スポーツでも対戦人数は同じ数で始められる。カードは、一方が30枚でもう一方が5枚のような、圧倒的な不平等でのゲームはあり得ない。将棋でも、一方が飛車角1枚ずつで、一方が飛車角が5枚あるというのもあり得ない。サッカーでも、一方が5人で一方が20人ということもありえないだろう。

しかし、現実のビジネスの世界はそうではない。

巨大な権力や資本に蹂躙される社会

ビジネスの世界には「平等なスタート」など用意されていないし、ちっぽけな資本の個人が巨大な企業と戦わなければならない世界だということだ。

ゲームやスポーツとはまるっきり逆なのである。両者の差を同じにするという配慮はゼロである。しかも、フェアプレイさえも求められていない。その結果どうなるのかは誰でも想像がつくはずだ。

もちろん時には、ちっぽけな存在がアイデアと思い切りの良さで勝ち上がるという話があって、それは爽快ではあるが極めて稀なことである。

通常は巨大な権力や巨大な資本を持った存在は勝ちやすく、中小企業や個人事業者は圧倒的に負けやすいのは誰が考えてもわかるはずだ。

小さな会社は負ける未来しか無い

小さな会社は、なんとか巨大資本が進出しないニッチを必死で見つけて、そこで勝負するしかないのだが、一生懸命頑張って市場を広げてそのニッチが広がって大きな分野になれば、大手がそれを買収するか競争を仕掛けて市場を奪い取ってしまう。

こうした、最初から「競争」にもならないような「競争という名の収奪」が繰り広げられているのが、私たちが今いる資本主義社会のビジネス経営環境であり、圧倒的強者が常に勝利していく社会なのである。

僅かな隙間に中小の生き残る道が存在する

そう考えるとどのみち食われるしかないのが中小企業の未来である。しかし、逆に考えるならば、大手が食いに来るまでの、僅かな隙間に中小の生き残る道が存在する。

資本主義者として生きていくのであれば、まずここを肝に銘じておかなければならない。その上で、いかにして、この状況を上手にかいくぐり生き残っていくかを考えることである。

こうした現実の環境を、むしろ逆手に取って利用して生き残っていくのが「気の経営」という考え方だ。
そして、残された僅かな隙間で生き残るために、戦わない為の経営戦略「スモールビジネス戦略」が必要となる。

スモールビジネス戦略の概要

スモールビジネス戦略は、8つの項目を基本とする。
以下に箇条書きで簡単にまとめておくので、まずはこれを覚えておいて欲しい。

(1)経営者の人生の質を最優先する
   時間が最も貴重である
   経営の目的は、経営者の幸福である。
   経営者自身が豊かになることを目指す

(2)仕事を道楽化する
   好きなことを仕事にする
   エキスパートになる
   天職の仕事に就く

(3)商圏を絞り強み(USP)に特化する
   戦うから負ける、だったら戦わなければいい
   ライバルのいない世界を探す

(4)大金を求めない
   求めるのは経営者の資産を増やす
   そこそこの金持ちを目指す
   無駄に金を使わない
   社会に洗脳され欲しがらない
   『使って減らぬ金100両』

(5)拡大を志向しない
   拡大は負ける戦略である
   競争しない(競争社会は洗脳の証拠)
   負けない戦略を取る
   強者ほど競争が好き
   小規模事業者こそが最強の存在

(6)我を捨てて流れに乗る
   流れを見極めそれに乗れば最小限の力で成功できる
   環境を見極め、需要を見極める
   常に変態をしていく

(7)顧客と共に成長する
   USPを経営者の人間性を中心におく
   顧客のファン化・絆作り
   お客という名の友人を作る

(8)長期目線で経営する
   小さな会社の経営は経営者の人生そのもの
   経営者の幸福を最優先する
   人生の質(QOL)を追求する
   経営を通じて人生をどう生きるか

以上の8つだ。

内田游雲
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