中小企業や個人事業などの小さな会社の経営者が、たいてい苦手にしている事が「セールス」である。これは、もちろん人それぞれだが、セールスすることが苦手だと感じる人が、どうも多いようだ。その理由は、なんとなく売り込むことが悪い事だと感じているからである。しかし、あなたが心底、良い商品だと思い、そのお客にとって必要だと思うなら、売らないほうが悪なのである。「売る」ことと、「売り込む」ことは、違うということだ。(内田游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「洩天機-運の研究」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
セールスが苦手な人が多い
商品を売るということは、
「商品」
「集客」
「教育」
「セールス」(クロージング)
この4つの段階だという話を下記の記事でお伝えした。
【参考記事】:
重要なことなので、この記事を読む前に、もう一度確認しておいて欲しい。
そして、ここでは、「セールス」(クロージング)の話に入っていくことにする。
さて、中小企業や個人事業などの小さな会社の経営者が、たいてい苦手にしている事が「セールス」である。
これは、もちろん、人それぞれではあるのだが、セールスすることが苦手だと感じる人がどうも多いようだ。
その理由は、なんとなく売り込むことが悪い事だと感じているからである。
ペコペコと頭を下げ、上辺だけの笑顔を作り、嘘八百の説明をして、無理やりにお客さんに買わそうとする。
これでは、確かにいい気分はしない。金さえ儲かればよい。
それが商売というものだと思い込んでいる。そんなふうに感じているのでは、それはもう商売ではない。
そう勘違いしているから、商品を売ることに躊躇するし、売ることができなくなるのだ。
しかし、真実はそうではない。あなたが、心底、良い商品だと思い、そのお客にとって必要だと思うなら、売らないほうが悪なのである。
そのお客が幸福になるチャンスを、あなたが、売らないことで可能性を潰してしまっているのだ。
いい商品であれば、売ることがお客の為なのである。
売ることと売り込むことは違う
しかし、ここで気を付けなければいけないことがある。
それは、「売る」ことと、「売り込む」ことは、違うということだ。
「売る」とは、お客さんが欲しいと思うものを提供することだ。
「売り込む」とは、お客さんが欲しいと思わないものを、何とか買ってもらおうとあの手この手で押し付けることだ。
「売る」ことはいいことだが、「売り込む」ことはよくないことである。
ここの違いがわからないから、売ることに対して消極的になってしまうのである。
お客の最もいやな事は何でだろうか?
それは、欲しくない時に売り込まれることだ。
お客さんの望んでいることは何だろうか?
それは、欲しい時に商品を差し出して売ってくれることである。
まず、この違いをしっかりと理解することだ。
ここが理解できていれば、セールスが苦手ということは無くなる。
つまり、その商品が欲しいと思うお客にだけ「売る」ということだ。
そして、お客に、商品が欲しいと手を上げてもらうことがマーケティングの役割なのである。
マーケティングがしっかりできていれば、現実にはセールスは、ほとんど必要なくなる。
セールスが苦手だということは、逆に言えばマーケティングが、しっかりとできていない証明なのである。
「商品」
「集客」
「教育」
「セールス」(クロージング)
そもそも、この4つの段階をちゃんと行っていれば、商品は売り込まなくても売れるはずなのだ。
問題解決の方法を売っている
私たちがどうしても勘違いするのが、商品やサービスを売っていると、思い込んでしまうことだ。
では、何を売っているのかというと、全ての商品は、顧客の「問題を解決する方法」を売っているのである。
この世界にあるあらゆる商品やサービスは、すべて、「問題を解決する方法」なのだ。
ここが、理解できていないから、商品やサービスが売れなくなる。
例えば、ここに、新しいトースターがあったとする。
では、このトースターはどのような問題を解決する方法なのだろうか。
トースターと言えば、もちろんパンをトースト(焼く)する器械だ。
新しいトースターは、これまであったものより、美味しくパンをトーストできる。
早く焼ける、手間がかからない。こうした機能がUPしている。
つまり、顧客の、
「パンが上手く焼けない」
「時間がかかり過ぎる」
「ずっと見ていなければならない」
そんな、問題があって、それを解決する商品として、開発されたものなのである。
しかし、ここを理解していないから、お客のこうした問題を解決できることをアピールできなくなり、結局、売れないということが起きる。
だから、トースターを売る時に、石窯風だとか、遠赤外線だとか、そういった機能ばかり羅列する事に終始してしまうことになってしまうのだ。
さらに、これが、広告などでも同じで、結局、機能のスペックばかり羅列され、顧客にとっては、どうでもいいことばかりが、記載されることになっていく。
家電オタクでもなければ、こういったスペックの数字に魅力を感じることは、ほとんどないだろう。
そうではなくて、
「これまで上手く焼けなかった冷凍ピザが、
お店の石窯のように美味しく焼きあがります」
と、伝えなければ、買いたくならない。
ありとあらゆる分野でこうしたことが起きている。
商品が売れない本当の理由
商品が売れないという問題のほとんどが、商品やサービスとは、「問題を解決する方法」だという変換ができていないことに起因する。
もし、あなたが今、商品を売ることに悩んでいるのであれば、一度、あなたの商品は、顧客のどのような問題を解決する方法なのかを、定義しなおしてみればいい。
これをすることで、全く違うメッセージをあなたは、発信できるようになる。
セールス力とは、言い換えれば、商品の持つ機能を「問題を解決する方法」に変換する能力と言ってもいいものなのだ。
もちろん、その為には、お客の心とシンクロする能力が必要になる。
あなたのお客すら気づいていない問題を想像し、イメージし、商品やサービスで解決していくという能力だ。
これは、訓練をすることで、だんだんうまくなっていくので、まずは、やってみることだ。
あなたのお客は、どんな問題を抱えていて、その商品やサービスは、それをどう解決してくれるのかが明確に理解できれば、商品やサービスを売ることは、それほど大変ではなくなるのである。