資本主義では働いたら負けという現実を知っておけ

資本主義では「働いた者が負け」になる

この世界は紛れもなく資本主義であるにもかかわらず、多くの経営者が「労働主義」のままビジネスを行い、利益を生み出せずにいる。資本主義では「働いたら負け」、つまり金を稼ぐためには自分が働くのではなく、資本に働いてもらう発想が必要だ。50歳を超えたスモールビジネス経営者こそ、歴史的にも論理的にも正しい「資本主義者としての経営」に転換すべきである。資本を活かせば年齢に関係なく豊かに生きる道は開ける。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者(特にスモールビジネス)に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
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現代は資本主義の世の中だと、小学生でも知っている。ところが、世の中の99%の人は資本主義のルールに沿って生きていないという現実がある。特に、50歳を超えてスモールビジネスを営む経営者でも、「世の中は資本主義だから仕方ない」と口では言いながら、実際には労働主義で生きているケースが少なくない。

資本主義社会の本質を理解する

なぜそんなことが起こるのか。一つには、学校教育で本当の資本主義を学ぶ機会がなかったからだ。先生自身が「資本主義で生きている人」ではなかったため、教科書の知識はあっても、実生活での応用までは伝えられなかった。そうすると、「経営するなら資本主義を理解せよ」と言われても、「それは自分には縁のない話」と受け止めてしまいがちになる。

だが、あなたが経営者である以上、資本主義から逃れることはできない。利益を求めるならば、その大小にかかわらず、「資本主義のルールがすべての土台にある」ことを認めなくてはならない。そもそも人間社会の歴史が、私有財産制を基礎とした経済活動を延々と続けてきた以上、いまさら別の仕組みに戻ることはない。

つまり、「自分は実は資本主義者として本気で生きていないかもしれない」という自覚を持つことが、まずは大事になる。もし今の経営がうまくいかず、利益に悩むならば、その原因は「資本主義なのに資本主義者として動いていない」ことにあるのではないか。

50歳を過ぎてからのビジネスも、遅すぎるということはない。むしろこれまでの経験を活かし、資本主義の本質を理解した経営に転換するには絶好のタイミングだろう。ここで「本物の資本主義」とは何なのかを再点検すれば、新しい事業の方向性が見えてくるかもしれない。

経済を知らずに経営するのは危険極まりない。しかし、逆に考えれば、資本主義を正しく使いこなせれば、少なくとも周囲の99%が見落としているチャンスをつかむ可能性がある。まずは、この世界が資本主義であることを忘れず、真っ向から向き合ってほしい。

3000年の歴史が示すやるべきこと

資本主義は産業革命の頃に確立したと思われがちだが、そのルーツは実に3000年もの昔までさかのぼる。古代アテナイや古代ローマにも「私有財産」の概念があったし、日本でも奈良時代中期に墾田永年私財法が制定され、土地の私有が法的に認められていた。

この事実が示すのは、資本主義とは「労働が中心」ではなく、私有の資産をいかに活かすかが根底にあるということだ。資本主義は、文明が生まれてこのかた、全ての時代にわたり底流として存在し続けてきた。だからこそ、経営者が「資本をどう使うか」という目線を持たないままビジネスに取り組むと、社会の大きな流れに逆行してしまう。

「安定した収入」を求めるあまり、時間を売って働くことだけに追われていては、古代から連綿と続く資本主義の恩恵を活かせない。歴史が教えてくれるのは、常に資本を所有し、それを運用する者が富を築いてきたという現実だ。もちろん、労働自体は価値があるが、それはあくまで資本を増やすための手段の一部でしかない。

投資というのは巨額の資金を指すのではない

ここで思い出してほしい。あなたが経営者ならば、そもそも「資本を活かして利益を得る」存在であるはずだ。にもかかわらず、「とにかく自分が働いて稼ぐ」という発想が先に立ってはいないだろうか。歴史を正しく捉えれば、労働主義のままでいることが、どれほど自分のビジネスを窮屈にしているかに気づくはずだ。

いまのスモールビジネスに大きな投資余力がないと感じる人もいるかもしれない。しかし、投資というのは何も巨額の資金だけを指すわけではない。小さなアイデアや時間配分、あるいは従業員の能力開発も立派な「資本の運用」である。3000年の歴史を踏まえて考えると、どうしても「自分が動く」方向に傾きがちな発想を改めたくなるはずだ。

資本主義の巨大な流れにうまく乗ってこそ、ビジネスは次のステージに進む。あなたがこれから打つ手は、古くて新しい資本主義の本質を見据えたものであるべきだ。

労働者主義では儲からない理由

資本主義では働いたら負けである。これは物騒に聞こえるかもしれないが、実は資本主義の本質を端的に表している。なぜなら、資本主義の主役はあくまで「資本」であり、「労働」はその下位に位置づけられるからだ。

「労働」は金を生み出すので、労働で金を生み出すことが資本主義の基本のように思うかもしれないが、しかし、それは資本主義の原始的な一面を示しているだけであって資本主義の全てではない。今の世界は、紛れもなく資本主義なのだが、安定した収入を求めて時間を切り売りして労働に生きている多くの人は、資本主義で生きているのではなく労働主義で生きている』ということになる。

要するに、労働から生まれる利益を得るだけに終始している段階では、資本主義本来の力を使い切れていないということだ。労働に注力するあまり、組織の規模の大小にかかわらず、「自分が働き続けないと売上が立たない」状態から抜け出せない経営者が多い。

さらに「安定した収入」という幻想にしがみついていると、目先の小さな安定に甘んじてしまいがちだ。会社を成長させる一歩手前で腰が引け、投資に踏み切れない。結果として、いつまでも自ら現場に立ち続ける必要があり、収入も限界が見えてしまう。

経営者であるにもかかわらず、現場にベッタリと張り付いているのは「労働者マインド」が抜けきっていない証拠だ。もちろん、直接プレイングで活躍することが悪いわけではない。だが、それがメインになってしまうと、経営の本質である「資本をどう活かすか」という視点を失う。

スモールビジネスを経営する上で、労働者マインドを捨てるのは簡単ではない。だが、ビジネスをより安定的に、そして豊かに運営するためには、ここにメスを入れることが欠かせない。

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資本に働かせる経営の具体策

では、どうすれば「労働主義」から脱却し、本当の資本主義に基づいた経営を実践できるのか。そのカギとなるのが「資本に働いてもらう」という考え方だ。ここで肝に銘じたいのが、「金を稼ぐために労働する」という発想は資本主義的ではないということだ。資本主義で生きるためには「金を稼ぐために資本を使う」というのが正しい。

あなたにとっての資本は、「ヒト・モノ・金・時間」など、ビジネスに活用できるあらゆる経営資源を含む。多くの経営者は「従業員のために働く」ことを美徳とするが、資本主義の視点では「従業員の労働力を投資する」という見方が正しい。会社の利益を伸ばすために従業員を活かし、彼らへの報酬もきちんと支払う。そうすることで、経営者自身も従業員も、より大きな成果を共有できる。

動かなくても利益が生まれる仕組みを作る

具体的には、一人会社でも「自分一人が頑張る」だけでなく、外注やパートナー企業、デジタルツールなどを積極的に活用してみることだ。自らが動かなくても自動的に成果が出る仕組みを構築すれば、自分の体力的負担を減らしながら売上や利益を確保できる。

たとえば、あなたの技術やノウハウをオンラインコンテンツとして提供する手段もある。リアルな場に出向いてサービスを提供しなくても、資本(コンテンツとシステム)に働いてもらうことで収益を得ることが可能だ。小さな投資から始めても、資本を動かすという発想さえあれば、売上を作る余地は大いにある。

「自分が働かないと回らない」という状態を維持している限り、いつまでも労働者マインドから抜け出せない。逆に言えば、「自分は動かなくても利益が生まれる仕組み」を少しずつ作ることが、資本主義に則った経営の第一歩になる。そこにこそ大きな可能性が眠っている。

経営者は資本主義者として生きろ

経営者が「資本主義者」として生きるためには、利益を求めることに対して負い目を感じないことが重要だ。政治家やマスコミの中には、資本主義を有害視するような言説もあるが、実際には世界は資本主義の原理で動いている。そこに後ろめたさを抱えていては、本来の力を発揮できない。

「社員のために働く」という善意の発想は一見尊いが、それだけでは経営は難しい。経営者は、まず自分が利益を得ることを最優先に考えるべきだ。そして利益を得るために、従業員やパートナーをうまく活かし、十分な対価を払う。結果的に、社員も豊かになり、会社も成長し、顧客にも還元できるわけだ。

資本主義で生きることを誤解していると、「金を稼ぐのは悪」というイメージを抱きがちになる。しかし、資本主義の世界では利益を上げることが前提であり、それは決して悪ではない。むしろ、より良い商品やサービスを開発して市場から正しく評価されることこそが、健全な資本主義の姿である。

「働くほど貧しくなる構造」から抜け出すには、「自分が直接動かなくても利益が生まれる仕組み」を追求するしかない。これを実現するためには、経営者が「資本主義の原理に従う」姿勢を明確にすることが大切だ。

資本主義では働いたら負け、という言葉は、一人会社を含めた小規模事業でこそ意識してほしい。体力的にも若い頃のようにはいかない50代以上だからこそ、労働ではなく資本を活かす発想が求められる。労働に振り回されずに済む体制こそ、経営者としての豊かな人生を築く鍵になる。

50歳からの資本主義者的経営戦略

50歳を過ぎてから資本主義を思い出しても手遅れではない。むしろ今こそが好機だ。若い頃のように無茶はしにくいかもしれないが、その代わり経験と人脈という財産を手にしているはずだ。これを資本として活用し、「労働」から「投資」へシフトすることで、一人会社でもスモールビジネスでも大いにチャンスを広げられる。

具体的には、これまで積み上げてきた専門知識や人的つながりを、デジタル化やネットワーク化と組み合わせる方法がある。オンライン講座やコンサルティング、サブスクリプション型サービスなど、あなたが持つノウハウや強みを資本化するのだ。そうすれば、自分が寝ている間にも利益を生む仕組みを構築できる。

もちろん、いきなり大きく稼ぐのは難しいかもしれない。しかし「金を稼ぐために資本を使う」というマインドを持ち続ける限り、着実に事業を育てられる。さらに、規模を拡大しすぎず、自分にとって快適な範囲で経営の品質を高めるという手段もある。結果的に、あなた自身の人生の質が上がり、ビジネスも潤うという好循環が生まれる。

短期的な売上よりも長期的な資産増を狙う

大切なのは、短期的な売上よりも長期的な「資産増」を狙うことだ。年齢を重ねても安心できるビジネスを作り上げるには、月々の収入だけではなく、将来につながる資本の形成が必要だろう。

いま世界は紛れもなく資本主義であり、資本主義の法則を理解している者が生き残る時代だ。もしあなたが「自分はまだ資本主義者として生きているわけではないかもしれない」と感じるなら、今すぐにでも行動を変えるべきだ。労働主義に留まっていてはもったいない。資本を活かして豊かになる道は、いつからでも歩み始められる。何歳であろうと、その扉は開かれている。

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