経営思考の基本にあるのは大数の法則

すべての物事は確率に近づいていく

経営を考える時に最も重要だといっていい法則がある。それが、【大数の法則】である。大数の法則とは、簡単に言ってしまうと、たくさんの事例を挙げていけば、物事は確率通りに帰結するということだ。商売は、どこまでいっても確率の世界で考えられる。つまり単純な数学の問題であり。世界は理屈どおりになる。その理屈を理解しているかどうかが大きな差になるのだ。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

世界を支配する大数の法則

経営を考える時に最も重要といっていい法則がある。それが、【大数の法則】である。

大数の法則とは、確率論・統計学における極限定理のひとつで、「経験的確率と理論的確率が一致する」という、少し解りにくい説明表現がされている。
簡単に言ってしまうと、たくさんの事例を繰り返していけば、物事は確率に近づいていくということだ。

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例えば、コインを投げて表が出る確率は1/2になる。
しかし、1回や2回投げただけでは、その確率通りの結果にはならない。
最初のうちは、裏のほうが多く出たり、表のほうが多く出たりする。
しかしこれを1万回、いや100万回投げれば、表が出る回数は1/2に限りなく近づいていく。

これが、大数の法則である。

考えれば、あたりまえのことなのだが、とても重要な法則である。
例えば、生命保険や火災保険などの保険料などは、この大数の法則を元に算出されているのだ。

商売における大数の法則

では、なぜ、この大数の法則が、ビジネスにおいて重要なのかだが、たとえば、広告を出した時に、「今回は売れた、前回は売れなかった」、こういったことが必ず起きる。

この時に、前提となる一定の売れる確率が存在するということがあれば、

「どのように改良しようか」

あるいは、

「あとどれくらい続けるか」

こうした判断をすることができるのである。

つまり、一回一回の反応に一喜一憂せず、ある程度長いスパンで物事を考える基準となるのだ。
長いスパンで考えれば、確率から広告費を決めたり、新規顧客を獲得する方法が見えてきたりする。

よく集客で悩んでいる経営者が多いが、じつは、こういったところが理解しきれていないからだ。

ネットは大数の法則が特に重要

インターネットを使って集客をしたい場合に、一番大事なことは、ネット上の人の動きを理解できるようになることである。

たとえば、「うなぎを食べたいな」と思った人は、どのようなキーワードで検索するのか?
そのキーワードだと、どれくらいの確率で注文するか?

これを、明確に数字で理解できることである。つまり、ネット上の人の流れを確率的に考えるということだ。

例えばPPC広告などでは、一定のキーワードで、注文する確率が明確に出る。
また、それをきっちりと測定することもできるのである。
例を挙げてみると100クリックされると一個の商品が売れて、1,000円の利益が出るとするならば、10,000クリックなら10万円の利益が出ることになる。

これはつまり、売上を計画して予測し、それを確実に実現できるということを意味している。

大数の法則が効率を上げる

たとえば、ネットショップでAとBという二つの販売ページを作ったとする。

この時に、AとBの両方に同じキーワードで同じ数のアクセスを誘導してどちらの方が売れるかをテストすることもできる。
つまり、感覚ではなく、実際の数字で優劣を見ることができるのだ。
こうしたテストを繰り返すことで売れるページを作ることもできるようになる。
売れる確率をあげれば、同じアクセス数でも、売上は当然増えていくことになる。

このようにビジネスは、どこまでいっても確率の世界で考えられる。
つまり単純な数学の問題になるということだ。

だから、1+1は必ず2になる。これは絶対だ。
あとは、それを活用する人間の問題である。

法則ではなく人間が間違える

人間だけは、数学と違うので運用できたりできなかったりする。
それが、個人差になって現れるが、基本は数学の世界なので、理解が深まれば深まるほどしっかりと運用ができるようになっていく。
これには例外はない。
だから、しっかり行動できれば必ず成果につながるはずである。

しかし、問題は人間のほうにある。

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人によっては、1+1=3と理解する場合があるのだ。
これが、個人差だ。
人間は、自分の思い込みですべてを解釈してしまう。
だから、1+1=2と教えても1+1=3と理解してしまうのだ。

商売の基本にはこういった確率にある。
しかし、多くの人がこう考えている。

「そんな、理屈どおりに物事は運ばない」

しかし、現実は、長期目線で俯瞰的に見れば、世界は理屈どおりにしか動いていない。
その理屈を理解しているかどうかが大きな差になっているのである。

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