私たちの人生において、仕事とは何だろうか。一日の1/3以上の時間を費やして、何のために働いているのだろうか。もちろん、日々の生活の糧を得る為であることは間違いない。仕事のすることの最大の目的は金を稼ぐことである。間違いなく、これが最も基本になる。しかし、日々の糧を得る以上に稼ぐ理由とは何なのかということだ。(内田游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングや人生のコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
私たちが仕事をする理由
私たちが仕事をする理由とは何だろうか。じつは、これは、日本人と西洋人とでは、全く基本になる部分が違っている。
キリスト教文化圏においては、仕事とは罰則である。人類の始祖であるアダムとイブは、エデンの園を追われイヴには出産時の痛みと夫への服従を、アダムには食べ物を得るための労働を、それぞれ罰として課される。こうして、人類は額に汗して働かなければ食料を手に出来なくなる。
つまり、働くということは、神から与えられた原罪である。だから、キリスト教文化圏では、金持ちになって、働かないで過ごすことがこの上もない憧れとなる。だから、働くことの目的は、働かないで済むようになることだ。
ところが、仏教圏では、日々の生活が修行であり、働くことは、悟りへの道となる。そうなると、一生働くことができることが幸福であり、働くことで悟りの道へ近づくことになる。
さらに日本の場合には、神道が底流にあり、人間は自然の中で生かされているのであって、自分自身が、この世界の一部として役割を担って生きている感覚がある。
こうしてみると、全く正反対の価値観である。
もちろん、何が正しいということではない。
「自分はどうなりたいのか?」
「何のために、生きていくのか?」
各自がどのように思っているかだけの事なのだ。
結局のところ人が働く上で、どのように考えているかで、生き方、働き方が全く変わってくるのである。
今生の人生で何をするのか
私たちの人生において、仕事とは何だろうか?
毎日8時間、つまり、一日の1/3以上の時間を費やして、何のために、働いているのだろうか?
もちろん、日々の生活の糧を得る為であることは間違いない。仕事のすることの最大の目的は金を稼ぐことである。これが基本だ。
しかし、日本においては、たとえ働けなくなっても、生活保護という保証はされている国である。問題は、日々の糧を得る以上に金を稼ぐ理由とは何なのかということである
あなたは、なぜ働くのだろうか?
あなたは、この人生を使って、何をしていきたいのか?
ここを考えてみることだ。
その先には、天命とは何か?
自分の使命とは何か?
そして、生きるとは何か?
さらには、天職とは何か?
こういったことが透けて見えてくる。それが見えて来たら、働き方、稼ぎ方が変わってくるのである。
人の心の美しさを出しつくす
私たち日本人が働く理由は、金儲けだけではない。多分、もっと他に重要な事があるはずだ。つまり、ただ金を稼げばいいのでもなく、あなたの生き方そのものが反映するような、そんな、働き方を目指していくことだ。
私の尊敬する経営思想家である岡田徹氏の書いた文章に次のようなものがある。
繁盛しようと
思うことはない
思うべきは
今日もまた人の心の美しさを
わが商売の姿と
したいことである
私たちが、仕事をする目的は、金儲けだけではなく、人間としての美しさを表現する為だ。これは、決してきれいごとではなく、そのほうが、むしろお客の支持を得て、会社やお店は繁盛していくのである。
同じ岡田氏の文章に次のようなものものもある。
商売とは
人の心の美しさを
だしつくす業(なりわい)
あなたの商人の姿に
前だれをかけた
み仏(ほとけ)をみたい
小さな会社の社長は、毎日修行をしているようなものである。あなたの人間としての成長が、あなたの会社や店の成長そのものなのである。
拡大することが目的ではない
それは、決して、形が大きくなるということではない。いくら会社という器が大きくなったとしても、中身がスカスカではダメだ。小さいけれども、人間として素晴らしい社長がやっている仕事として、世の中の人が評価をする。そんな経営が理想の姿である。
その為に大事な事は、会社経営という修行を通して、人間として、成長していくことなのである。
会社をただ大きくするのではなく、かかわった人たち(お客も社長も社員も)すべての人の幸福を目指すことが、経営する最終目標である。ただ儲けるためだけではない。
だからこそ、それぞれが持って生まれた役割に、基づくビジネスを作ることが可能になるのだ。これこそが、「天職」のビジネスである。
会社経営という活動の中で、お客や社員や取引先に喜んでもらい感動してもらう。その結果として、商品が売れていく。これこそが、小さな会社が最終的に目指すべき世界である。