商品を売らなければ、お客が商品のことを知ることはできない。商品について誰も知らなければ、それは無いのと同じなのだ。勘違いしがちなのは、商品が良いから売れるだろうという考え方だ。そもそも、商品の優劣などは、買って使ってみなければわからない。だから、商品が売れるかどうかは、商品の良し悪しとは、現実には関係ないのであり、売れるかどうかはセールス力によるのだ。(内田游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
多くの小さな会社や個人事業の社長が、セールスが苦手だという。
しかし、その商品を売らなければ、商品のことを誰も知ることはできない。誰も知らなければ、それは無いのと同じなのだ。
勉強したり、才能を磨いたりとといった努力をすると同じくらい、商品や自分を売ることは、とても大事な事なのである。
学ぶ為には体験するしかない
セールスが苦手な理由は、おそらく
「断られたらどうしよう。」
こうした恐怖が芽生えるからだ。
しかし、何もしないよりも、失敗したほうがいい。全く失敗しないで物事が上手くいくことはほとんどないからだ。仮に、セールスをして失敗したとしても何も変わらない。これまでと同じ状態のままである。
「何かを学ぶためには、自分で体験する以上にいい方法はない。」
これは、アインシュタインの言葉である。
もしあなたが、自分でビジネスをやっている、または、これからビジネスをやりたいと思っているなら、自分でまずチャレンジして経験を積む必要があるのだ。
売上を上げる為に重要な項目
ビジネスにおいて、重要な項目とは何だろうか。
これについては、色々な意見もあるが、絶対の一つは、商品をどうすれば売ることができるか。これに尽きるだろう。私たちは、この目的の為に、様々な事を考えたり勉強する訳である。
では、
「なぜ売上が上がるのか解っているか?」
または、
「商品がなぜ売れるのか考えたことがあるだろうか?」
商品がいいから、売上が上がるのだろうか?
価格が安いから売上が上がるのだろうか?
それとも、サービスがよく顧客満足が高いから、売上が上がるのだろうか?
実際には、そのどれでもないのだ。
私たちがよく思い込んでいるのは、商品がいいから売れるだろうという考え方だ。そもそも、商品の優劣などは、買って使ってみなければわからない。だから、商品が売れるかどうかは、商品の良し悪しとは、現実には関係ないのである。
売れる理由は営業力にある
昔読んだ、アメリカの経済雑誌に面白い記事があった。それは、商品が売れるメカニズムについて調査した特集である。年間でベストセラーになった1,000に及ぶ商品に対して「売れた商品の徹底解析」を分析を試みたものだ。
商品がなぜ、売れたのか?
何が効いているのか?
この特集はそれを明確にしてくれていた。
商品が売れるメカニズムを決定する重要項目を挙げてみると商品力、価格力、宣伝広告力、ブランド力、伝統力、社員力、チャネル力、営業力、クレーム対応力などで、この特集では、これらの要素の効果度を数値化して統計を出していた。
その集計結果による、売れるメカニズムの重要な項目は、
商品力 25%
価格力 19%
営業力 41%
その他 15%
こうした割合になっていたのである。
面白いことに、この統計数値は10年以上ほぼ同じ数字を示しているとのことだ。
さて、これを見てみると、モノが売れるには、業種や商品の枠をこえて、営業力が第1位、しかも、41%を占めている。つまり、モノが売れるのは、商品がいいとか、サービスがいいとかではなくて、営業力があるかどうである。
つまり売上を上げるには、単純に営業を強くすればいいということだ。
売ることをもっと実践する
では、営業とは何だろうか?
営業とは、すなわちセールスである。商品やサービスを売ることだ。
では、「売る」とは何だろうか?
売るというのは、その商品やサービスが必要な人、欲しい人に、商品を購入するメリットを伝え理解してもらい、そして、行動してもらうことだ。
では、これを体験できる方法は、あるだろうか?
現実の話として、実際の商品を売る練習をすることはできない。すべて本番である。
しかし、少ない予算でテストをしながら、試行錯誤を重ねて体験を積み重ねていくことはできる。なるべく少ない予算で、商品を売るというその一点にだけ特化してみることだ。それが、売るということを学ぶ最高の場なのである。
少ない予算で試行錯誤を重ねて成果を出せれば、予算を拡大させてサービスを売ることが、簡単にできるようになる。
だから、今、商品がどうすれば売れるかで悩んでいる社長や、これからビジネスをやりたい人、そういう人は、まず少ない予算でテストを繰り返して、体験を積み重ねていくことである。
こうして、リスクを最小限にコントロールしながら、売る経験を積むことで、「売る」ことの練習をすればいいのだ。そうすれば、ほとんどリスクもなく、「売る」スキルを上げていくことができる。
誰も知らなければ売れない
自分自身についても同じだ。
よく、自分はこんなに努力しているから、あるいは、こんなに才能があるから、きっと、いつか、誰かが見つけ出して私を引き上げてくれるに違いない。そう思っている人がいる。
私の娘なども、こう考えている節があるから、おそらくこれは、多くの人が同じように思っているのだろう。しかし残念ながら、それも、ありえないことだ。
売らなければ、誰も知ることはできない。誰も知らなければ、それは無いのと同じなのだ。勉強したり、才能を磨いたりとといった努力をすると同じくらい、自分を売ることは、とても大事な事なのである。
私の友人に、40過ぎてから画家になろうと思い立ち、英国の絵画学校に行った人間がいる。その友人が言っていたのが、絵の授業と同じくらいの、マーケティングやセールスの授業があることに驚いたそうだ。
失敗しても何も変わらない
私が相談を受ける多くの社長が、セールスが苦手だという人が多い。しかし、何もしないよりも、失敗したほうがいいのだ。全く失敗しないで物事が上手くいくことはありえない。
仮に、見込客にセールスをして失敗したとしても、その見込客は、見込客のままで何も変わらない。これまでと同じ状態のままだ。じつは、セールスして失敗しても、何の損失もない。
しかし、売らない限り、商品は売れない。商品が売れないとお店や会社倒産していくことになる。しっかり売らないことが、もっとも危険な事だということを、ぜひ認識しておくことだ。
そして、もっと、「売る」ということに邁進していくことである。