小さな会社を経営するための基本的な考え方

すべてのニッチ市場に誰でも参入できる

社会は常に変化して常に新しい流行が生まれてニッチが生まれる。そこにこそ、小さな会社の生きる道があるのだが、やがてそれも大きな潮流になると巨大企業が乗り出してニッチを丸ごと食って太っていくものだ。巨大企業が乗り出すまでは、なんとか中小企業や個人事業者のような小さな会社がわずかながらに生きながらえる事ができるのだが、その後は、小さな会社が勝てる確率は非常に非常に小さく、その道のりもとても厳しいものとなるのだ。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

誰もが情報発信ができる時代

インターネット環境の普及によって、誰もが低コストで日本全国に向けて情報発信ができるようになった。

では、この「誰もが低コストで日本全国に向けて情報発信ができる」とは、どのような意味を持つのだろうか。
これは商売においては、すべてのニッチ市場に誰でもが参入できるということだ。

つまり、近くにはほとんどいないであろうお客に向けての商品であっても、日本全国には必要な利益を得ることができるくらいのマーケットが存在するということだ。
1県に100人しかいない顧客の為の商品でも日本全国であれば4700人にるだろう。
これが、全世界に向けたら可能性はもっと大きくなる。

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これまでの商売の基本的考え方とは、最大公約数のニーズに対して商品を開発して売るということであった。
つまり、なるべく多くの人に対して、商品を売るための方法が取られてきたのだ。

これはなぜかというと、ごく狭いニッチ市場で商売しようとすると、広告コストや配送コストが嵩み、利益を出すことが難しかったからだ。
そして、そのような市場には、効率的に商品を売る方法がなかったために、結局最大公約数のニーズのある商品を売るしかなかったのである。

しかし、今ではそれが簡単にできるようになっている。
そうなると、お客の要望に100%応える商品を売ることができるようになる。
これが、これからの商売の基本であり、小さな会社が取るべき戦略なのだ。

儲かっても拡大はできない

しかし、この商売では利益をどんどん拡大していくことはできない。
一定のところで売上げが頭打ちになっていくことになる。
これは、市場が小さいのだからしかたがない。

しかし、逆にいえば競争相手が多く出る市場ではないから、激烈な価格競争が起きることもないので、無理なコストダウンなど必要がなくなる。

会社を大きくすることを諦めること

逆に拡大しようとして、大きなコスト構造を抱えてしまうと、そのコストを維持できるだけの利益を確保することができないのだ。

ということは、会社を大きくすることをあきらめなければいけない。
つまり、グローバル資本主義的な考え方のビジネスでは、対応できないのが現代のビジネスである。
そして、反対に小規模事業や個人事業者にとっては、小さな会社の戦略を取ることでチャンスが存在するということでもあるのだ。

ネットの活用で格差が減る

これを端的に言い表しているGoogleアジア太平洋地域社長の話を取り上げてみる。

以下、抜粋である。

「今やアジア太平洋地域の中小企業は、大企業と同じ土俵で戦えるようになりました。
例えば、15年前にフィリピンで起業した人は、新聞やテレビで広告をするには多大な費用が必要となり、
誰が広告を見たかを把握するのは雲をつかむような話でした。
これに対して現在は、PPC広告を使えばテレビCMの数十分の1の予算で世界中のネットユーザーに
情報を発信できます。
地域やキーワードを絞って配信したり、広告の反応を把握することも容易なのです。
あらゆる企業にチャンスが与えられる時代になり、とりわけスモールビジネスを始めるのは今がチャンスです。
これまでアジア地域では財閥などの大企業が寡占してましたが、ネットによってスモールビジネスが
後押しされるようになっりました。
例えば、インドでお土産をネット販売するChumbak社は、PPC広告を出稿したことで、
海外の購入者が増加しただけでなく、日本で商品を販売するまでに業務を拡大しています。
香港でタトゥーショップを営むTattoo Temple社もPPC広告を展開した結果、
輸出できない商品であるにもかかわらず、海外からの引き合いが増えたといいます。
インターネットを活用すれば顧客を探せるし、物流を考慮せずに製品を届けられます。
大きな投資は不要で、大量の商品在庫を抱える必要もありません。
もはや工場で大量に作った商品を店舗に並べて買ってもらうのを待つ時代ではないのです。
スモールビジネスはいまや世界中の顧客を相手にすることができ、つまり巨大なビジネスとなっているのです。
さらに、スモールビジネスは、クラウドサービスを活用することで、運営コストを抑えられるようになりました。
それは農業や医療、ラーメンであっても、あらゆる産業に当てはまります。
中小企業はインターネットを活用することで、従来の伝統企業との差がなくなる時代なのです。」

一部を抜粋したので、少し変な文章になっているがそこは我慢して欲しい。

小さな会社には厳しい時代

さて、ここで述べられていることは、いまは、小さな会社にとって、最もいい時代になったということだ。
それは、インターネットの環境が、小さな会社にとって追い風となり、大企業とガチンコで戦える環境をもたらしているということである。
こうなると、じつは、大企業より強いのが小さな会社となる。
なんといっても、コストがかかっていない。
ただ、ここに気づいているかが重要である。

しかし、こうした一時的な成功に酔って、会社を拡大し、大きな会社と同じような戦略を取ってしまうと、資本主義の弱肉強食の世界に晒されることになる。
弱い者は食われるのが資本主義の原則だからだ。
弱肉強食の資本主義では、いかに自分で自分の身を守るかが、小さな会社の経営の真実である。

社会は常に変化して常に新しい流行が生まれてニッチが生まれる。
そこにこそ、小さな会社の生きる道があるのだが、やがてそれも大きな潮流になると巨大企業が乗り出してニッチを丸ごと食って太っていくものだ。

会社を拡大するほど大資本の餌となる

巨大企業が乗り出すまでは、なんとか小規模事業や個人事業者のような小さな会社がわずかながらに生きながらえる事ができるが、その後は、小さな会社が勝てる確率は非常に非常に小さく、その道のりもとても厳しいものになるのだ。

現代社会は資本主義社会だが、この社会において競争相手は往々にして超巨大資本である。
超巨大資本と個人が戦ったら、99.999%は超巨大資本が個人に勝つ。

もしろん、極稀にそうではないケースもあるが、それはかなり例外的な奇跡的なケースといっていい。
すべての分野で、超巨大資本は常に小資本を叩き潰していく。

ひとことで「資本」と言うが、その差は大人と子供以上の体力差がある。
その差は、想像以上に凄まじい差だ。

中小企業庁によると、個人事業者の1事業者あたり平均売上高は「963万円」であるとされている。
これが、仮に情報産業で戦おうと思ったらソフトバンクという売上6.1兆円の企業がライバルになるし、ファッションの分野で戦おうと思ったらユニクロの親会社ファーストリテイリングという売上2兆円の企業がライバルになる。

小さな会社は、この現実を冷徹に眺めて、経営の仕方や自分の人生の生き方を考えなければならない。
会社を拡大すればするほど、大資本の餌となる可能性が高まることを、まずは肝に銘じておくべきなのである。

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