需要と供給を操る小さな会社のゲリラ戦術

ゲリラ戦を捨てた瞬間から経営は地獄になる

小さな会社が生き残り、利益を上げるにはゲリラ戦が不可欠である。局地戦に徹し、「需要>供給」の状態を維持することで利益を最大化できる。市場全体を見るのではなく、極少数の熱狂的な顧客に価値を届ける戦略が有効だ。資金が少ないからこそ、小回りが利くスピードと集中力を活かし、大企業とは異なる土俵で戦うことが必要になる。拡大よりも一点突破を重視し、限られたリソースで勝てる戦場を見極めて戦うべきである。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者(特にスモールビジネス)に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
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大企業のように豊富な資金と人員を投入できるなら、戦線を広げながら物量戦を仕掛ける方法もある。しかし、小さな会社にはそんな余裕はない。そもそも持っている資源が少ないのだから、同じ土俵で競えば圧倒的に不利になる。ここで必要なのがゲリラ戦だ。ゲリラ戦の基本は局地戦。なるべく狭いところに集中し、徹底して攻める姿勢が重要になる。大企業が戦線を広げる間、こちらは一点を深く掘り下げる。そうすることで、物量に頼る相手の弱点を突きやすくなる。

小さな会社はゲリラ戦で勝つ

歴史にもゲリラ戦の好例は多い。とりわけ有名なのがベトナム戦争だ。圧倒的な兵力と装備を投入したアメリカ軍でさえ、ゲリラ戦を駆使したベトナム軍に翻弄され、ついには撤退を選んだ。この事実は、「弱小が強者に勝つにはゲリラ戦しかない」という教訓をはっきり示している。ビジネスの現場も同じだ。小さな会社だからこそ、大きな会社の懐に潜り込み、相手が届かない細部を制する戦い方を意識すべきだ。これが分かっていないと、豊富な資金力や組織力に呑み込まれてしまう。

ゲリラ戦を決断するとき、まず大事なのは「同じ土俵で戦わない」という覚悟だ。大企業が展開する華々しいプロモーションや、多数の取扱商品を欲張って真似したところで、たいていは資金が足りずに息切れする。これを避けるには、自分の会社が今持っている武器と弾薬は何かを正確に把握し、その限りあるリソースを一点に集中させる発想が必要になる。大きな相手が何をしていようと、小さな会社ならではの勝ち筋を粘り強く探ることで道は開ける。ゲリラ戦においては、派手さよりも的確さがものを言うのだ。

戦場を絞り込むと利益が生まれる

商品を増やし、売り場を広げ、あれもこれも手を出す。多くの経営者は「もっと売ればもっと儲かる」と考えるが、実はそれが落とし穴になる。なぜなら、ゲリラ戦の要は「局地戦」だからだ。幅広い市場を狙えば狙うほど、物量を投入できる大企業が有利になる。こちらは狭く深くに徹してこそ勝機をつかみやすい。

さらに、利益の最大化には「需要と供給」のバランスが欠かせない。需要が供給を上回る(需要>供給)状態だと、価格競争に巻き込まれにくい。たとえば欲しい人が十人いて商品が九個しかないときは、誰もが手に入れたくて値下げの必要が生じない。

多く売るほど利益が減るジレンマに陥る

ところが、調子に乗って商品を三十個に増やすとどうなるか。売れ残りを抱える可能性が高まり、在庫を減らすために値段を下げざるを得なくなる。結果的に、たくさん売っても利益が減ってしまうというジレンマに陥る。

こうした罠は、小さな会社ほどハマりやすい。なぜなら、少し商品が売れ始めると、「もっといけるかもしれない」という期待が膨らむからだ。だが、戦場を広げると戦力の散漫を招く。収益が伸びるどころか赤字を抱えてしまう事態にもなりかねない。

逆に、手持ちの武器(商品やサービス)が限られていることを自覚し、そこに集中してこそ利益を確保しやすい。戦場を絞り込むことが、ゲリラ戦で成果を挙げる第一歩だ。

市場全体を狙わず少数へ集中する

小さな会社は市場全体を見るな。
これは何も「周りの動向を完全に無視せよ」という意味ではない。むしろ、「自社が本当に価値を提供できる人は誰なのか」を突き詰めよう、ということだ。

大企業は巨大な市場を相手に大量販売で利益を積み上げるモデルが得意だが、小さな会社にそこまでの量産能力は期待できない。それどころか、大きいターゲットに手を伸ばそうとして競争に巻き込まれたら、たちまち粉砕される危険がある。

だからこそ、極少数であっても「あなたの商品やサービスがなければ生きられない」というような熱烈なファンを作ることが大切になる。そもそも、世の中の全員を喜ばせる商品など存在しない。万人受けを目指せば、かえって魅力が曖昧になり、誰にも刺さらない平凡なものに落ち着いてしまう。

だが、どこかに必ず「これは自分のためのものだ」と強く感じる層がいる。その人たちに絞り込むことで、需要と供給のバランスを最大限に活用することが可能になる。

たとえその市場規模が小さく見えても、熱量の高いファンがいれば、売り上げはむしろ安定しやすい。大きく儲けようという発想は一見魅力的だが、その瞬間にゲリラ戦から離れてしまう危険をはらむ。
集中できるターゲットを明確にし、そこに徹底的にサービスを磨き込み、付加価値を高める。それがゲリラ戦で勝つための基本原理となる。

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資金不足が意外な強みを生みだす

小さな会社は資金がない。これは苦しい部分である一方、実は強みでもある。資金が潤沢にあれば、大企業のように広告を打ち、在庫も潤沢に抱えられるかもしれない。だが、それゆえに抜け出しにくい競争にもハマりがちだ。
豊富な資金を背景に広範囲で勝負するとき、大企業との正面衝突は避けられない。その結果、相手の物量に屈するか、利益の薄い戦いに持ち込まれるリスクが高まる。

その点、資金が少ないというのは自然に行動を絞り込むことにつながる。あれもこれもやりたくても、できる資源がない。ならば最小限の力で最大の効果を狙うしかない。これこそゲリラ戦の真髄だ。「戦場はできるだけ狭く」「集中力を最大限に」という戦略である。

ニッチでも需要と供給のバランスを高められる場所

大企業のように大量生産や大規模宣伝で勝負できない以上、ニッチでも需要と供給のバランスを高められる場所を見つけることが利益を上げる近道となる。
そもそも資金力に差がある以上、真っ向勝負を挑んでも結果は明らかだ。ならば、ゲリラ戦で勝機をつかむしかない。

ベトナム戦争の例が示すとおり、弱者が強者を相手に勝つには敵の土俵から外れた形で戦うしか方法はない。ここで挿絵のスペースを設け、資金不足でも小回りが利く軽快さをイメージしてほしい。
そうすれば逆に、大企業が気づかない小さな市場で大きく稼ぐ可能性が開けてくる。

小さな会社はゲリラ戦を極めろ

ゲリラ戦は隠れて動き、相手の背後や弱点を突きながら攻めるイメージがある。ビジネスでも同じだ。大企業が大々的に広告を打っているのを横目に、ひっそりと局所的な市場に入り込み、じわじわとファンを増やす。
必要以上に目立たなくてもいい。むしろ、大きな会社のレーダーに捕まらないほうが得策な場合が多い。

ゲリラ戦で情報収集は欠かせない。どんなに小さな市場でも、その中には複数のプレイヤーがいる可能性がある。彼らとの価格競争を避けるためには、オリジナリティやサービス品質を磨き、需要と供給の黄金比を保つことを意識したい。
需要よりも供給がわずかに少ない状態に保てば、価格を下げる必要がない。多く売ろうとする欲を捨て、小回りの利く体制で在庫と顧客を丁寧に管理するのがゲリラ戦の立ち回り方だ。

また、小さな会社の利点としてスピード感が挙げられる。大企業は意思決定や方針変更に時間がかかる。しかしこちらは少人数だからこそ、思い立ったらすぐ行動に移せる。そのスピードを活かし、好機があればすぐさま攻めの手を打つ。あるいは相手が油断しているところへ奇襲をかける。
ゲリラ戦の巧者ほど、ここぞというタイミングで大胆に動いている。小資本だからこそ身軽に動いて結果を出しやすいのだ。

徹底集中こそが勝利の方程式

ゲリラ戦の基本は局地戦だと言ったが、最後までそれを貫き通すためには集中力が欠かせない。どうしても人は欲をかき、「もっと売れるかも」「もっと大きくできるかも」と考えてしまうが、そこにこそ敗北の罠が潜んでいる。
たとえ市場を広げられるチャンスが見えても、無理に拡大しては大企業との衝突を招き、圧倒的な物量差に巻き込まれかねない。

大事なのは、自分がどこで最大の価値を発揮できるかを見極め、そこに全力で集中することだ。局地を極めれば、需要と供給の均衡を小さな単位で実現できる。

欲しい人がいて、そこに必要な分だけ商品やサービスを届ける。このシンプルな仕組みこそが、利益を継続的に確保する要となる。逆に言えば、あれもこれも手を出してしまうと、在庫リスクや宣伝コストが増え、薄利になりがちだ。

だからこそ、小さな会社は市場全体を見るなという言葉を忘れないでほしい。広いフィールドに目移りせず、自分にぴったりの場所を探し出し、その場を徹底的に守り抜く。そこでは少数の熱狂的な顧客があなたを待っているはずだ。彼らが満足し、さらなる価値を見いだしてくれれば、あなたのビジネスは着実に利益を生み出し続けることだろう。一点突破のゲリラ戦こそ、小さな会社が大企業を凌駕するための最良の道なのである。

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