現代に、求められているビジネスモデルとは、社長個人がその持っている経験や強みを打ち出して、エキスパート(専門家)として高付加価値のサービスを展開するビジネスである。その為には、あなた自身がどのジャンルの専門家となり、会社やお店をどのような専門店にして経営していくかを考えることが必要になる。これが、今、あなたに求められている緊急事項なのだ。(内田游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
バブル崩壊後、失われた30年と言われた時代の勝ち組ビジネスモデルに
「そこそこのサービスを安い値段で提供する」
こうしたスタイルがあった。
失われた30年のビジネスモデル
マクドナルドが過去に展開した「100円マック」や、一杯300円前後の牛丼がその代表格だ。また、一人当たり3000円前後で飲んで食べて楽しめる居酒屋チェーンなどもその一つといっていいだろう。「和民」などがその代表例である。
こうしたビジネスモデルは、給料が頭打ちだったデフレ環境にも、実にうまくマッチした。その結果、多くの個人経営の飲食店が淘汰されることにもなったのだ。
これは、飲食業界だけではなく、多くの業界に及んでいる。
デフレ依存型ビジネスは終わった
しかし今、このビジネスモデルは既に限界を迎えている。
輸入物価は急上昇し、デフレ依存型のサービス業を直撃した。その結果、多くのサービス業がブラック企業と呼ばれるほど、無理をしなければ回らない業態になってしまっている。
その上、団塊ジュニア世代のフリーターであふれていた2000年前後より4割も新成人の減っている現在では、時給数百円で身を粉にして働いてくれる店員を確保するのは難しくなっている。こうした、環境変化によってデフレ依存型ビジネスモデルは完全に破たんしつつある。
マクドナルドやワタミが陥った不振の背景には、こうした事情がある。
また消費者はとても賢明で、余計なもの(自分が本当に欲しいと思ったもの以外)を一切買わないという、消費姿勢に既にシフトしていて、高級レストランの売上げは落ちなくとも、ワタミなどの格安居酒屋の売上は、むしろガタガタになっている。
つまり、ワタミで一杯やるくらいなら家で発泡酒を飲むし、その分無駄な外食を控え節約をし、月に一回高級フレンチを夫婦で楽しむ・・・。
このようなライフスタイルが、この数年でかなり確立したということである。
ブティック化(個人商店化)の時代
では、この変化に対する対策はどうしたらいいのか。
答えは、はっきりしている。
それは、
「高い満足度を与えられるサービスをそれに見合った値段で提供する」
こうしたことだ。
具体的にいうと、物価と人件費の上昇でそれなりの値段はするが、それ以上の満足度を与えられる店にすることだ。
こうなると、毎朝自分で市場に仕入れに行って、包丁一本で勝負するような個人経営の店のほうが強くなる。逆に、現場に直接の関与をしていない本部が商品企画や仕入れを全部仕切る大手チェーン店が高付加価値を生み出すことは困難になるだろう。
こうした店は、コロナウィルスによるパンデミックが起きても、致命的な影響を受けることなく、生き残っている。
これからは、小さな会社やお店の時代だ。しかし、ただ小さければいいという単純なことではない。ブティック化(個人商店化)の波が、始まっているということだ。
今、求められているのは、社長個人がその持っている経験や強みを打ち出して、エキスパート(専門家)として高付加価値のサービスを展開するビジネスである。そして、ここに小さな会社を経営するにあたっての重要なヒントがある。
小さな専門店への移行がカギ
こうした小さな専門店を英語に訳すと boutique になる。つまりブティック化とは、つまり小さな専門店化するということだ。ただし、これまでにあった専門店とは大きな違いがある。
それは、一言で言ってしまえば、
「小さなライフスタイル専門店」
こうした形態になる。
コモディティ化(一般化)した商品ではなく、あるライフスタイルに特化した商品や専門的なサービスを提供する小さな専門店ということだ。つまり、お客をいかにして購入者から愛用者へと転換させることができるかが鍵になる。
ぜひ、早めに頭を切り替えることである。
そして、少しでも早く、あなた自身がどのジャンルの専門家となり、会社やお店を、どのような専門店にして経営していくかを考えることである。
これが、今、小さな会社の社長に求められている緊急事項なのだ。