商売の基本は「需要と供給」にある

小さな会社は、値下げをすることは絶対に考えてはいけない。それどころか、むしろどうしたら値上げができるかを考え続ける必要がある。商売の基本とは、需要と供給である。需要より供給が多くなると価格は下がる。反対に需要より供給が少なくなると価格は上がる。小さな会社は、あなたの商品が欲しいと思っているお客に、あなたの商品を少しだけ届ければいい。そこにこそ、小さな会社の生き残れる細い道があるのだ。(内田游雲)

profile:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「洩天機-運の研究」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

安売りの店は消えていくしかない

最近、繁華街に出かけて気づくのは、ファミレスの激減だ。
消えたのが、ガスト、バーミヤン、サイゼリヤ・・・

そのほとんどが安売りを謳ったファミレスである。
こうして気が付くと、街から安売り系のファミレスがほとんど消えている。

「これからは激安店と高級店に二分される!」

以前、こうした話を書いたのだが、その後の流れとして、日本の生産年齢人口の減少によって、人手不足になり激安店を襲っている。

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これは、コンビニも同じで、昔は、コンビニのバイトの中心と言えば、学生だったが、いつの間にか主婦になり、昨今は、ほとんど外国人だ。
名札に書いてある、ひらがなが、なんとも可笑しいので、それはそれで楽しい(笑)

さて、こうしたことは、すべての業界で起きている。

働き手を確保するためには、賃金を上げなければいけないが、激安店では、そもそも利益幅が少ないので、賃金をそれほど上げることができない。
しかも、日本の平均実質所得が下がっている状態では、販売価格を上げることもままならない。
頼みの外国人労働者は、賃金が相対的に高くなくなった日本は働く場所としての魅力に乏しい。

はっきりいって、日本はすでに詰んでいるのである。

商売の基本は「需要と供給」

「あなたの会社が高級店への転換ができていれば、まだ問題はないが、そうでなければ、これから厳しい状況になる。」

以前、セミナーなどでこう伝えたことがある。

その時に、よく質問されたのが、

「そうはいっても、どうやって高級化したらいいかわからない。」

こうした内容だ。

じつは、ほとんどの小さな会社の社長は、ビジネスの基本がわかっていない。
解っていないというのは、知らないということではない。
知っていてもそれが腑に落ちていないということだ。

商売の基本とは、需要と供給である。
実にシンプルだ。

需要より供給が多くなると価格は下がる。
つまり、商品を欲しい100人のお客がいて、そこに、120個の商品があったら、価格は下がるということだ。
これは、自分の商品だけではない。他で同じ商品を扱っていたら、それも数に含まれる。
同じ町内に、欲しい人が200人いて、商品が250個あったら、値段が下がる。

だから、インターネットが普及して、ネット上で同じ商品が際限なく存在するようになったら、当然に価格競争が起き、値段が下がっていくしか無い。
反対に、自分のところだけで扱っている独自の商品が、100個あって、それを欲しい人が、120人いたら価格は上がっていく。

しかし、小さな会社の社長の多くが、つい市場全体を見て、一般の人たちが自分たちの商品やサービスに、いくら払ってくれるのかばかりに目が行っている。
そもそも、これが間違いの元だ。
それどころか、その商品やサービスを高く評価してくれている少数の人をまったく考えていない。

商売の基本は、一つの商品がここにあって、それを欲しいという、たった2人の人間がいたら、価格はどこまでも上がり続けるという事実だ。
これは、現実に、オークションなどで見られる光景である。

つまり、あなたの商品を高価格にするためには、需要よりちょっと少ない供給をするだけでいいのだ。だから、小さな会社は、とにかく拡大するなと言っているのだ。

拡大したら、価格が下がるしかない。もちろん、他で同じものがないという前提は忘れてはいけないが。

行列のできるラーメン店の失敗

もう一つ例を出しておく。

仮に、あなたが行列のできるラーメン店をやっていたとしよう。
そうすると、お客からしょっちゅう次のように言われる。

「もっと広くして、並ばなくても食べられるようにして欲しい」

そうるすと、ついその気になって、店を広く改装ししてしまう。
その結果、閑古鳥が鳴く・・・。

よく目にする光景だ。

行列に1時間並んで食べるから、このラーメンの価値があるのであって、並ばなくてよくなると魅力がなくなる。
つまり、誰でも簡単に手に入るものは価値が下がっていくということだ。

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この場合の間違いは、並んで食べるという価値を勘違いしてラーメンの味だと思い込むことだ。

そうではない。

行列ができている理由の一つには、行列ができているということもあるのだ。
「並ぶ」ということも、ラーメンにお金を払う価値の一部分だったのだ。
それをなくしてしまったら、それは、閑古鳥が鳴くことになる。

このような例は、世の中に数多くある。

小さな会社は小さな会社らしく

あなたは、全てのお客様に商品を、届けようなどと考えてはいないだろうか。
もしそう考えているなら、早く考え方を変えた方がいい。
どのみち、世界中のすべての人相手に商売などできやしないのだ。

数を売ろうとすると、ビジネスを大きくする必要がある。
そうなると、価格競争をする必要に迫られ、スケールメリットを追うことになる。
拡大することで、固定費も拡大していき、損益分岐点が高くなり、必要な最低限の売り上げが大きくなってしまうことになる。
さらに、価格競争の結果は、最終的には強い1社だけが勝ち残るといった激烈な生き残りの争いに発展していくしかない。

そして、この強い1社とは、資金体力のある会社である。
つまり大きいところが勝ち残り、小さいところは必ず負けることになる。

小さな会社は、値下げをすることは絶対に考えてはいけない。それどころか、むしろどうしたら値上げができるかを常に考え続ける必要がある。

小さな会社やお店は、小さな会社やお店らしく、あなたの商品が欲しいと思っているお客に、あなたの商品を少しだけ届ければいい。
それだけで、あなたの会社やお店は、勝手に高級店になっていくことになる。

そこにこそ、小さな会社の生き残れる細い道があるのだ。

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