災害から再起する為に日頃からやっておくこと

震度7の地震は5年に1回起こる

中小企業や個人事業者のような小さな会社は、災害に対してとにかく脆弱だ。資金体力がないために、大きな災害が起きたときに、あっという間に倒産や廃業に 追い込まれることになる。日本においては、大地震が25年に5回、つまり5年に1回程度は、震度7クラスの地震が起きている。どう頑張ろうが、神に祈ろうが、災害は必ず容赦なく起こるのだ。だから小さな会社にとって大事な事は、どうすれば再起ができるかということなのである。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

震度7の地震は5年に1回

1995年の1月17日に阪神淡路大震災が起きた。
ちょうど、うちの娘の1カ月検診だったので、病院でそのニュースを見て驚愕したことを今でも鮮明に覚えている。ビルが倒れ、高速道路が倒れ、瓦礫の山になった神戸も見事に復興している。そして、東日本大震災。

敗戦で、日本中が瓦礫の中になっても、復興して、世界でも指折りの発展を遂げた日本だが、この世の終わりかと思えるような光景に、私たちは、たった20年ほどの間に2度も遭遇したのだ。

なかでも特に被害の大きかったのが東日本大震災で、死者15894人、行方不明2562人・・・
想像を絶する大災害だった。

私はこの日、ちょうど家にいて、地震を感じて慌ててTVをつけて 驚愕したことを記憶している。そのまま、テレビに釘付けになり、夜まで見守ることしかできなかった。

1995年1月17日に阪神・淡路大震災
2004年10月23日新潟県中越地震
2011年3月11日東日本大震災
2016年4月14日熊本地震
2018年9月6日北海道胆振東部地震
2024年1月1日能登半島地震

これは、震度7以上の最近の地震である。震度7というのは、気象庁による、最大の地震クラスだ。

日本においては、こうした大地震が25年に5回、つまり5年に1回程度は、震度7クラスの地震が起きていることになる。それ以下の地震も含めると、ほぼ毎年のように、大きな地震に見舞われているのが私たちの国なのだ。

さらに、新型コロナウィルスによるパンデミックや戦争なども含めれば、かなりの頻度で、この国には、大災害が襲ってくるのである。

どう再起を計るかを考える

さて、こうした地震の影響で、実はいくつもの会社が倒産や廃業に追い込まれている。

東日本大震災による倒産件数は、累計1700件以上。倒産にカウントされない廃業もこれ以外に数多くある。特に私たちのような、中小企業や個人事業者のような小さな会社は、こうした災害に対してとにかく脆弱だ。資金体力がないために、大きな災害が起きたときに、あっという間に倒産や廃業に 追い込まれることになる。それは、それである意味仕方がない事だ。

そもそも、こういった天災を事前に経営計画に入れることは、中小企業や個人事業のような小さな会社にとっては、そもそもナンセンスであり、こうした時には、ある程度あきらめることも大事である。

小さな会社はどう再起するかを考える

どう頑張ろうが、神に祈ろうが、災害は必ず容赦なく起こるものだ。大企業であれば、社員への責任があるだらろうが、小さな会社にとっては、それよりも大事な事は、どうすれば再起ができるかということなのだ。

災害が起きたときに、一時的に事業ができなくなるのはもう仕方がない。そこで、じたばたしてもどうにもならない。しかし、再起さえできれば問題はない。

では、実際に再起するために大事な事は何だろうか?

商売に必要なものは、商品とお客だ。商品は、災害が収まればなんとかなっていく。再起するために一番需要になるのは、それまでの事業で培ってきたお客との絆である。

「あなたの会社は、私にとって 無くてはならない会社です。」

こうお客に思ってもらえるような関係性を、日ごろから作り上げていることが、こうした未曽有の災害の時に大きな役割を果たす。

お客が会社を守ってくれる

江戸時代は、火事が多かったことが有名で、関ヶ原の戦い翌年の慶長6年(1601年)から、大政奉還の行なわれた慶応3年(1867年)に至る267年間に、江戸では49回の大火が発生した。大火以外の火事も含めれば267年間で1798回を数える。

江戸商人は店が火事になると真っ先に大福帳を持って井戸に逃げ込み守ったと言われている。大福帳は、近世における商業帳簿の一種で、特に大福帳は全体を総括した元(もと)帳であり、得意先との取引状況を明確にしたものだ。

近代以後の得意先元帳(顧客台帳)に相当し、商家にとってはもっとも重要な帳簿であった。つまりお客とのつながりがひと目で分かる帳簿だったのだ。これさえ残っていれば、再起はどうにでもできるということであった。

これは、現代にも通じることで、常日頃からお客とどのような関係を築いていくかをしっかりと考え実行しておくことだ。お客との関係は、日常ではあまり意識されないかもしれないが、こうした災害時には、大きな意味を持ってくる。

もちろん、こうしたお客との関係性は、平時においては、そのまま業績UPにつながっていく。そして、緊急時には、 それが、あなたの仕事の命綱になるのだ。

小さな会社の社長は、自分の会社やお店が、お客にとって、本当に必要な存在になっているかどうかを、日頃からしっかりと考えるようにしておくことだ。あなたの会社やお店を守ってくれるのは、他ならぬお客なのである。

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