商売において最も重要な事は、需要と供給の関係である。たとえ同じ商品であっても、この需要と供給のバランスが変われば、利益率が変化していくことになる。影響されにくい経営をしていく為には、経済や業界から離れ、自分だけの独自の市場を創り出すことが必要になる。自分だけの市場であれば、そこは、自分の力が支配できる場所、つまり、需要と供給をコントロールすることができる市場だということになる。(内田游雲)
profile:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「洩天機-運の研究」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
商売の基本は需要と供給の関係
世の中は、常に大きな変動に見舞われていく。
最近では、新型コロナウィルスだが、その前は東日本大震災だった。
こうした変動状況における経営を判断する上で、重要になる基本的な考え方は、「需要」と「供給」の関係にある。
商売において、需要と供給のバランスは、必ず次の3つの状況になる。
(1)売り手市場
売り手市場の時は、需要が供給を上回り、費用を支払っても利益が出る
(2)需要=供給
需要と供給がほぼ同じで、費用は回収できるが利益は出なくなる。
(3)買い手市場
供給が過剰で需要を上回り損失が出る状態。
これを見てもわかる通り、商売において最も重要な事は、需要と供給の関係だ。
たとえ同じ商品であっても、この需要と供給のバランスが変われば、利益率が変化していくことになるからだ。
【参考記事】:
経済も需要と供給のバランス
この現象は、経済全体においても起きてくる。
(1)の売り手市場の時は、インフレであり、(3)の買い手市場の時がデフレになる。
日本が今デフレ傾向になっているので、供給が過剰で需要を上回っている。
デフレは、需要の不足だから、それを解消するには、需要を上げればいい。
経済の場合には、需要とは消費と投資を意味する。
つまり消費を上げる必要があるのだが、マインドが冷え込んでいる状態でそれがなかなかできない。
そうなると企業も投資を控えてしまう。
だったら、公共投資をして、需要を喚起してしまえば解決するという結論になる。
ところが日本がやった政策は消費税を上げることだった。
消費税を上げると、消費が減少するのでデフレになる。
消費税とは、消費をすることに対する罰則のような税金であるから、当然の結果として消費が減少していく。
これが、アベノミクスが失敗した理由である。
最初のうちは、公共投資をガンガン行って、デフレから脱却しかけたのだが、消費税を5から8%にして、デフレに戻ってしまった。
さらに、その上また10%に上げたから、不景気に当然なるのだ。
難しく考えることはない。
単純にそれだけの事である。
なんとも、簡単な事なのだが、理解している人が極めて少ないことでもある。
バブルも需要と供給で起きる
この需要と供給のバランスは、業界単位でも起きていく。
例えば、バブル景気の時は、不動産が「売り手市場」になり高騰した。
だから不動産を売り買いすれば儲かったわけだ。
では、今は、どうなのか?
不動産は、日本全体で見れば、完全に供給が過剰で需要を上回っている。
なにせ、今後、少子化が進むので、そうなると不動産価格や家賃は下がる他ない。
だから今、不動産投資をするのは危険なのだ。
さらに、今回のコロナ騒動で、消費が壊滅的に減少した業界もある。
そうした業種が家賃を払えなくなるので、需要と供給のバランスも一変している。
また、地域や地区によって、この需要と供給のバランスが変わる。
そのため、東京の一部の地域が上がったりするのだが、全体を見れば酷いものとなっていくことになる。
こうした経済は、地域や地区によって、需要と供給のバランスが変わる。
観光地によっては、コロナ後のオーバーツーリズムで、需要と供給がめちゃくちゃになっている地域もある。
そのため、一部の地域が景気が良くなったりするのだが、基本的な傾向を見れば、酷いものとなっている。
こうして、国全体、地域全体に需要と供給の変化が常に起きているのである。
では、小さな会社が商売をする時には、どう考えたらいいかだが、こうした広い市場の場合には、この需要と供給のバランスは小さな会社がコントロールすることは決してできない。
つまり、運任せにだということである。
需要と供給の流れに乗る気の経営
これを自分の力で影響されにくい経営をしていく為には、経済や業界から離れ、自分だけの独自の市場を創り出すことが必要になる。
自分だけの市場であれば、そこは、自分の力が支配できる場所、つまり、需要と供給をコントロールすることができる市場だということだ。
これが小さな会社における気の経営の一つの視点となる。
もちろん業界から独立した存在になっても、同じように需要と供給の力は働く。
しかし、自分で創り出した市場であれば、需要と供給のバランスをコントロールして、売り手市場を維持し利益を出せるようになるのである。
こうした、独自市場を作り出すキーワードがUSPということになる。