段取り八分が小さな会社の基本

「段取り八分」は、計画と準備に全体の80%を注ぎ、成功をつかむビジネスの基本である。この原則は『孫子の兵法』に基づき、無駄な競争を避けながら成果を上げる戦略に通じる。経営計画では、リソース配分やリスク管理に注力することで効率と生産性を高められる。「段取り八分」を中心にすることで小さな会社は生き残ることができる。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

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小さな会社の経営では、「段取り八分」という言葉が成功の鍵を握る。
段取りに注力することが具体的な成果につながる例は数多く存在する。
「段取り八分」とは、計画と準備に全体の80%の力を注ぎ、実行をスムーズに進めるという考え方だ。

「段取り八分」というキーワードを意識して行動することで、時間や資源を最大限に活用することで小さな会社は生き残れる可能性が高くなる。

段取り八分で戦わずして勝つ

「段取り八分」は、単なる準備の重要性を説くだけではなく、競争を避けながら結果を出す「戦わずして勝つ」戦略にも通じる。
この考え方は、中国の古典兵法書『孫子の兵法』における「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉にも見られる。

さらに、『孫子の兵法』では「勝つべくして勝つ」という考え方が繰り返し述べられている。孫子は、戦う前に徹底した準備と分析を行うことで、実際の戦いを避けながら勝利を収めることができると説いている。

また、『孫子』は「全勝の策」として、無駄な争いを避けることの重要性を述べている。これをビジネスに置き換えると、競争そのものを避けることでリスクを軽減し、自社のポジションをより強固なものにする戦略といえる。

「段取り八分」を徹底することで、無駄な競争を避け、独自のポジションを築き上げることが可能になる。これにより、結果的にリスクを軽減し、安定した成果を上げることができる。

ビジネスにおける「段取り八分」は、単なる効率化ではなく、戦略的に勝利を収めるための最重要要素であることを改めて認識すべきだ。

経営計画を立てる重要性

あなたは、旅行に行く時に、いきなり空港のチケットカウンターに並んで、「旅行に行きたいので、どこでもいいからチケットをください」などと言うだろうか。

もちろん、そんなことをする人は、ほとんどいないはずだ。

普通は、準備に何カ月もかけ、行き先を家族と相談して決め、スケジュールを調整した上で、交通手段やホテルの手配をするはずだ。
さらには、その旅行についていろいろと調べたり話をしたりもする。
出発までの日数を数えて楽しみに待ち、「その日」に向かって気分を盛り上げていく。
あなたも家族も、想像の中で、何度もそこを「訪れ」そして、実際に出発の日がやってくると、綿密に計画し、鮮やかに思い描き、何度も確認し膨らませていた旅行へと旅立っていくものだ。

そして、長い間想像してきたことを、実際に体験し、想像よりも素晴らしい体験に喜びを感じるはずだ。
これが普通の人が行う旅行の計画である。

ところが、旅行の計画にこれだけのエネルギーをつぎ込んでいるのに、なぜ、人生や仕事、そして経営を偶然任せにしてしまうのだろうか。
なぜ、朝起きて、服を着て、玄関を出て、後は即興で済ませてしまうのだろうか?

たとえ小さな会社や個人事業者であっても、旅行と同じ位綿密に経営に関する計画を立てる価値があるはずだ。いや、それどころか、むしろ、それ以上に計画を立てる必要がある。

しかし、ほとんどの人が、何が欲しいのかもどこへ行くのかもわからないままに、なんとなく一日を過ごしてしまうのである。仕事や経営の計画よりも旅行の計画に、よほどエネルギーを注いでいる。

そもそもの間違いはここにある。

人生や仕事は、まずゴールを決めることが、成功の鍵になる。
成功とは、価値あるゴールを段階的に達成していくことだ。

自分や仕事の成功をきちんと定義し、計測可能なゴールを決めていなければ、それが成功しているかどうか判らない。成功がどんな姿かを知らなければ、それが現れても気づけないのだ。

ビジネスでいうのならば、それは、経営計画になる。大きな会社はともかくとして、小さな会社や個人事業者で、この経営計画をしっかりと立てている人は、ほんの一握りしかいない。

だからこそ、旅行の計画と同じ位の、いや、むしろそれ以上のエネルギーをこの経営計画に注いでいくことが必要なのだ。計画段階での徹底的な準備が成功を引き寄せる鍵となる。

『孫子』の兵法には、「上兵は謀を伐つ」(計画をもって勝利を得る)という教えがある。これは、勝負は戦場ではなく、準備段階で決まるという意味だ。ビジネスにおける段取り八分もこれと同じで、準備が成功の8割を占める。段取りをしっかり整えることで、実行段階ではスムーズに物事が進む。

『孫子』には「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」(『孫子』謀攻篇)とある。これは、戦うことなく勝利を収めることこそが最も優れた戦いであるという意味だ。

小さな会社が大企業と正面から戦うのではなく、独自の強みを活かして競争そのものを回避する戦略が求められる。

段取りの段階で独自性のあるニッチ市場を見つけることで、大企業が手を出しにくい分野で優位に立つことができる。

段取りを徹底し、リスクを最小限に抑えることができれば、無駄な「戦い」を避け、効率よく成果を上げることが可能になる。

経営計画に八割の力を割く

経営計画において「段取り八分」の原則を取り入れることは、特に中小企業やリソースが限られている企業にとって極めて重要だ。この考え方は、計画段階にエネルギーの80%を注ぎ、実行の段階を効率的かつ効果的に進めることを目的としている。

成功を手にする為の重要なキーワードは
「段取り八分」
という言葉だ。

段取りとは、何をどの順番で行うかということである。
つまり、計画することだ。段取り八分とは、この計画に八割の力を割くということだ。

まず実行する前に、どれだけ細かく計画を立てることができるか。
これで、決まるということだ。
これは、個々の仕事や経営の全てのシーンに当てはまる。

「やる前に、どこまで段取れるか?」
ここでビジネスの勝敗が決まるのである。

「段取り八分」とは、戦う前に勝敗が決まるということだ。
つまり、孫子のいうところの「戦わずして勝つ」ということだ。

あなたの毎日を、仕事のやり方を、そして経営への取り組みをもう一度見直してみてほしい。
その日の仕事の計画をしっかりと立てているか?
さらには、経営の計画をしっかりと立てているか?

もし、これまで経営計画をしっかりと立てていなかったなら、今すぐ立てるようにするほうがいい。 それだけで、他の多くのライバルから抜き出ることができるようになる。

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