会社を倒産させない為に資金繰りについて知っておけ

会社が倒産する理由は一つしかない。仕入れ先や銀行に対して支払いができなくなってしまう「不渡りで倒産」これだけだ。会社というのは、たとえ黒字であっても資金繰りに行き詰まれば倒産する。一方、赤字であっても資金があれば、倒産することはありえない。だからまず、いつまでに、どれだけの現金が必要になるかを常に明確にしておくことだ。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

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小さな会社の社長の仕事の中で、最も辛い仕事がおそらく資金繰りだ。

「売上が思う通りに上がらない。」
「売上げが段々下がってきてしまっている。」
そうなると、自ずと資金繰りが厳しくなっていく。

こうしたことは、新型コロナウィルスのようなパンデミックや、震災のような災害時に大きく表面化する。資金繰りのために銀行から借金をして、その返済に汲々とする。さらには、この銀行に返済する為に、他からお金を借りてきて、ますます、資金繰りが悪くなる。そのうち、銀行からノンバンク、さらにはサラ金へと借りる先が悪くなって、最後は倒産へと至ることになる。

会社が倒産する理由は一つだけ

会社が倒産する理由は一つしかない。
「不渡りで倒産」
これだけだ。
正確には、資金ショートである。会社が倒産する理由は、仕入れ先や銀行に対して支払いができなくなってしまう
「資金ショート」
つまり、
「借入金や仕入代金を支払うことができなくなった場合」
これだけが倒産する場合である。

そして、その原因のほとんが、固定費が大きくなりすぎて、売上が減った時に経費がまかないきれず、窮地に立たされるからだ。

ここで、一時的に借り入れなどをして、たとえ、窮地をしのいだとしても、その後は、資金繰りに追われ、最終的には、やはり倒産してしまうことになる。この時にはもう、借金は手の施しようがないくらい膨れ上がってしまうことになっている。

会社は、赤字でも倒産しない。
さらに、赤字だと税金もかからない。

つまり、資金ショートさえしなければ、倒産は絶対にしないということだ。

支払いと売掛金の回収サイクル

会社を倒産させない為に、まずは基本的な考え方を覚えておくことだ。それが、支払いと売掛金の回収サイクルである。

ほとんどのビジネスは、何かを仕入れて、それに付加価値をつけて販売している。つまり、売上代金から、仕入代金を支払って残りが粗利益となり、そこから、人件費などの営業経費を支払って残りが利益となる。

仮に、Aという商品を100万円で仕入れて200万円で売るとする。この時に、現金で仕入れると最初に100万円の現金が必要になる。もし、あなたが100万円の現金を持っていなければ、取引は成立しないことになる。

支払いと売掛金の回収サイクルに注意する

では、この仕入れを、末締めの翌月の20日払いで仕入れる事ができれば、あなたは、現金を持っていなくても来月の20日までにこの商品を売れば、ビジネスをすることができるようになる。もし、今が1日であれば、約50日間のビジネスチャンスが有るということだ。

さらに、顧客に売る時に、
「支払いは来月末でいいよ!」
などと掛売りをした場合は、来月の20日までに仕入代金をどこからか調達して、支払わなければいけなくなる。もしそれができなければ倒産だ。

この資金を銀行から借りてくれば、利息が発生し、利益が減ることになる。支払いを手形で受け取った場合には、期日前に割り引くことになり、その手数料がガッツリ引かれる。

会社を倒産させないための方法

さて、このようにみてくると会社を倒産させないためには、
(1)支払いはなるべく先に伸ばすこと。
(2)売上代金の回収は、なるべく早く行うこと。
こうしたルールが見えてくる。

それは酷いんじゃないかと思うかも知れないが、これが現実の姿なのだ。数字から見れば、これは当たり前のことなのである。こうした資金サイクルを理解しない上に、さらに売れないからと値引きをしたら、どうなるかは、誰でも判るだろう。往々にして、経営が行き詰るのは、価格が安すぎるからだ。

こういったことは、会計の知識を、少し知っておくだけで、だれでも把握できるようになる。決算書は企業の通信簿と言われる。この通信簿を見て、悪い部分は、それを治していけばいいだけである。しかし、小さな会社の社長のほとんどが決算書の意味がわかっていない。これではダメなのだ。

ぜひ、数字に強くなることだ。
決して難しい事ではない。

基本的なことだけで十分だから、だれでも、少し勉強すれば判るようになる。ビジネスというのは、どこまで行っても数字だということを、まず、肝に銘じるようにして欲しい。

たとえどんなに小さくても、会社や店を経営していたら、必ず資金繰りの問題に直面するものだ。その時に、役に立つのが会計の知識である。

社長に課せられた使命とは、期日までに必要な現金を準備するということになる。では、この期日までにどうすれば、資金を準備することができるかだ。

まず最初にやらなければいけないことが、「目標と期日を明確にする」ということだ。つまり、いつまでに、いくら準備する必要があるかということを正確に把握することである。資金繰りに事を考えることが、社長にとって実は一番胃が痛くなることである。しかし、だからといって逃げるわけには行かない。

ここで気をつけておくことが、
「この場合の売上は目標ではない」
ということだ。

問題はあくまで資金繰りなのである。

重要なのは売上ではなく現金

つまり、ビジネスで最も重要なのは、売上ではなく現金なのである。

大きな会社では、資金繰り表を作るのが当たり前だが、小さな会社やお店では資金繰り表を作ることはほとんどないだろう。これが、小さな会社が資金繰りの問題を起こす基本的構造である。

何度も書くが、会社というのは、たとえ黒字であっても資金繰りに行き詰まれば倒産する。一方、赤字であっても資金があれば、倒産することはありえない。だからまず、いつまでに、どれだけの現金が必要になるかを常に明確にしておくことだ。そして、その現金を生み出すためにどれだけの売上が必要なのかを考えて、計画をしていくのだ。

さらにもう一つ、現金を用意する方法は、売上を上げることだけではない。売掛金を回収したり、金融機関から運転資金を借りる方法もある。それ以外にも、支払期日の変更や、集金期日の変更などもできることだ。

とにかく、必要なのは現金なのだ。まずはこうした現実的な会計の知識をしっかりと身につけることである。

【参考記事】:

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