
スモールビジネスが儲からない原因は、努力不足ではなく、努力の方向を誤っていることにある。多くの経営者は本業を捨て、副業やバイトで一時しのぎを選びがちだが、それでは未来は変わらない。儲かる仕事を見極め、そこに集中し、学び、投資することが利益への最短ルートである。本業こそが資産となり、未来をつくる。今こそ「とりあえずやる」から卒業し、「儲かるためにやる」行動を選び直すべき時だ。(内田游雲)
内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者(特にスモールビジネス)に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
スモールビジネスで儲け方を間違えると、どれだけ働いても会社は繁盛しない。
なぜ頑張っても儲からないのか
『努力の量ではなく努力の方向が未来を決めている』
「頑張ってるのに、なぜ儲からないんだろう?」
そう感じているスモールビジネス経営者は、実は少なくない。毎日遅くまで働き、土日もなく現場に立ち、経費を削り、広告も打っている。なのに、手元に残るお金は驚くほど少ない。まるで水をすくってはこぼしているような感覚だ。この状況、じつは多くの50代経営者が陥っている典型的なパターンである。
原因はシンプルだ。努力の「量」ではなく、努力の「方向」がズレているのである。たとえば、目の前の売上確保に追われすぎて、儲からない仕事に時間を割いている。あるいは、誰でもできる安価なサービスで勝負して、価格競争に巻き込まれている。これは、経営戦略としては致命的だ。どれだけ働いても収益が残らない構造になっているのだから。
その象徴が「副業依存型経営」だ。売上が落ちると、とりあえずコンビニバイトでも…と考える経営者が実在する。一見、堅実で真面目に見えるが、経営の視点でいえばこれは完全に逆方向の行動である。1日8時間働いても、月収は16万。この時間を本業の再設計に使えば、将来的に何倍ものリターンを得られたかもしれない。目の前の安心感を買った代償として、未来の成長を切り捨ててしまう。
だからこそ問いたい。「あなたが今頑張っているその努力、本当に会社を儲けさせる方向に向いているか?」
方向を間違えたまま走り続けても、目的地には絶対にたどり着けない。
儲かる仕事に集中するだけでいい
『本業で勝負する覚悟が、あなたの収益構造を変える』
儲かる仕事に集中しない限り、スモールビジネスは永遠に稼げないままだ。
経営がうまくいっていないとき、つい「他にいい方法はないか」と探したくなるのが人間というものだ。だが、ここで間違えてはいけないのは、“何か新しいことをやる”ことと、“儲かることに集中する”ことはまったく別物だということだ。スモールビジネスが生き残るためには、やるべきことはただひとつ。儲かる仕事に一点集中すること。実にシンプルである。
ところが実際はどうか。あれもやってみよう、これもやらなきゃ、と手を広げてしまいがちだ。お客様の要望だからといって、利益にならない仕事まで引き受けていないだろうか。結果、疲労だけが蓄積され、通帳には一向に数字が増えない。これでは、「がんばるほどに儲からない地獄」に陥ってしまうのも無理はない。

儲かる仕事とは、時間単価が高く、リピートされやすく、他社と差別化できるものだ。そこに全力投資するからこそ、収益は増えていく。儲からない仕事に時間を奪われていては、本業の成長など夢のまた夢である。あえて言おう。スモールビジネスにおいて「多角化」とは、弱者の逃避であり、自滅のはじまりだ。
いま目の前の仕事が「儲かる設計」になっていないなら、やめるか、仕組みを変えるしかない。そして、「これはいける」と判断したものだけに集中する。覚悟がいるが、それが唯一の突破口だ。すべてをやろうとすれば、結局なにも残らない。だからこそ今、本業に人生を賭けるという判断が必要なのだ。
間違った努力に気づけない理由
『“とりあえず”の安心が、あなたの未来を食い潰す』
多くの経営者が、副業に逃げて本業に集中できず、結果として稼げない理由に気づかない。
スモールビジネスがうまくいかないとき、誰しも不安になる。売上が減れば焦るし、手元の現金が減れば眠れなくなる。そんなときに手を伸ばしてしまうのが、「とりあえず副業」や「バイトでつなぐ」という選択だ。だが、これが落とし穴。経営者が副業に走るということは、自ら本業の未来を諦めているに等しい。
たとえば、時給1,000円でコンビニバイトをしても、1日8時間×20日で月収16万円が限界だ。それを16時間労働に増やしても、年収は700万円程度が頭打ち。もちろん、バイトが悪いわけではない。問題は、経営者が「上限の見えた労働」に人生の時間を費やしてしまうことにある。
この判断の背景には、「今をなんとかしのがなければ」という短期的な安心志向がある。しかしこの安心感は、麻酔のようなものだ。根本の経営改善から目を逸らし、目先の安心に逃げ続けた結果、会社はますます儲からない体質になっていく。まさに「安心の仮面をかぶった自滅」である。
経営者に求められるのは、「とりあえずやれること」ではなく、「利益につながる選択」だ。いま自分が頑張っていることが、未来の収益に結びついているか。そこに目を向けるだけで、間違った努力を手放す覚悟が生まれてくる。怖いのは失敗ではない。意味のない努力を続けてしまうことだ。
小さな会社が儲かる3ステップ
『調べる・学ぶ・投資する—それだけで利益は動き出す』
小さな会社が儲かるには、正しい経営戦略を学び、稼ぐ方法に時間とお金を投資するしかない。
「儲かる方法はないか?」と悩む前に、「調べたか?」「学んだか?」「投資したか?」と自問すべきである。スモールビジネスの成功は、ひらめきや運に左右されるものではない。順を追ってやるべきことをやれば、意外なほどシンプルに利益は動き出す。まずやるべきは、この3つのステップだ。
第一に、「調べる」。市場にニーズはあるか、自分の商品は本当に選ばれているか、価格帯や競合との差はどうか。この“調べる力”がないままでは、どんな商品も売れない。経営者は探偵でもある。まずは情報という武器を持たなければ、戦うことすらできない。

次に、「学ぶ」。すでに成功している経営者がいるなら、真似ればいい。自己流で10年かけるより、成功者の型をパクって1年で回収した方が賢明だ。プライドを捨てて他人に学ぶことは、経験豊富な経営者ほど難しい。しかし、それを超えたとき、ビジネスは加速する。
そして最後に、「投資する」。ここでいう投資とは、株や不動産ではない。自分のビジネスに金と時間を注ぐことだ。学びのためにお金を使い、仕組みづくりに時間をかける。無料の情報だけでどうにかしようとする経営者に、結果がついてくることは稀だ。
この3ステップは派手さこそないが、どれも確実に利益につながる。やるかやらないかは、自分次第。さあ、あなたの時間とお金は、未来の利益を生むことに使えているだろうか?
本業に集中して未来を変える
『副業の安心は、経営の未来を削っている』
スモールビジネスで成功する法則は、本業に集中し、利益が出る仕組みを育てることに尽きる。
いくら働いても生活が楽にならない。そんなとき、目先の収入を補おうとバイトや副業に手を出す気持ちはわかる。だが、それが「本業から意識を外す」という最悪の副作用をもたらすことに、多くの経営者が気づいていない。バイトで現金を得ることはできても、あなたのビジネスは1円も育っていないのだ。
経営者に必要なのは「仕組みを作る時間」だ。売上が自分の労働力に依存しているうちは、経営ではなく“自営業”のまま。本業を伸ばしたければ、今いる顧客に何度も買ってもらえる設計をつくること、他社と比べられないUSP(強み)を磨き込むこと、それに時間とエネルギーを注ぐことだ。そこから利益が生まれ、やがて資産になる。
問題は、「働いた時間=収入」という常識が染みついていることだ。経営とは、「時間を切り売りする」のではなく、「時間を仕組みに変える」ことである。本業に集中するとは、言い換えれば“未来のために動く”ということであり、それを他の何かで埋めてしまえば、未来をつくる時間が永遠にこない。
本業はあなたのこれまでの経験と情熱が詰まった場所であり、あなたが最も価値を発揮できる場所でもある。その本業にもう一度、深く向き合ってみる。見落としていた稼ぎ方、磨き直すべきサービス、育て直すお客様。それに気づいた瞬間、未来の利益の芽はすでにそこにある。
儲からないのは才能がないからじゃない。単に、儲かる仕事を選ばず、儲からない努力を続けているだけだ。副業で小銭を拾いながら、本業を腐らせている経営者のなんと多いことか。そろそろ現実を見よう。会社を立て直す覚悟があるなら、まずは儲かる一点にすべてを賭けてみることだ。