劣等感と怒り

誰もが他人と比べることで、自分の存在価値を計ってしまう。他人と比較して劣等感を感じたり、うらやましく思い、イライラするのは、誰にでも起こる自然な感情だ。しかし、このような感情によって、衝動的に決断したことは大体うまくいかない。劣等感や嫉妬は、行動のきっかけをくれるが、それが、道を誤らすことにつながりやすい。(内田游雲)

profile:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「洩天機-運の研究」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

劣等感は強い怒りを生み出す

誰もが、「自分は他より秀でたい」という衝動を持ち、他人と比べることで、今度は、強い劣等感を持つことになる。

ここで、思い出してほしいのは、あなたが、他人の言動に激怒する時は、たいてい、自分の中に劣等感があり、それを刺激される場合が多いという事実だ。

普段から自分が気にしている部分に、触れられたり、指摘されたりした時に、人は激怒するのである。それは、自分の中にある劣等感や嫉妬の感情などが、相手の言葉を刃(やいば)に変えているのだ。

他人の言動というのは、本来は何の力も持っていない。
だから、自分がそれを、どのように受け止めているかだけである。

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しかし、多くの人が他人と比べることで、自分の存在価値を計ってしまう。つまり他人と比べて、少しでも自分のほうが、「いいと思いたい」、「いいと思われたい」。こうした感情がが刺激されることで、他人の言葉に自ら傷つくのだ。

これを防ぐためには、自分の絶対的な存在価値を、自分の中に見つけ出し、他人との比較から、自分を解放することである。こうすることで劣等感や嫉妬といった感情を取り去ることができる。

つまり、自分は自分であって、他人との比較して、優劣を決めることなど、何の意味もない事に気づくことができれば、他人の言動によって、心が傷つくことはなくなるのだ。

SNSは劣等感を生み出す装置

ところが、人間は誰かと自分を比べてつい焦って何かをしようとする。

作家のゴア・ヴィダルは、

「友だちが成功すると、
 いつでも自分の中の何かが少し死ぬ」

と言っている。

FacebookやインスタなどのSNSでは、若き成功者のストーリーや友だちの自慢、リア充なキラキラした生活があふれていて、自分の現実がバカみたいに思えることがある。

実際には、こうしたものは、かなり飾り立てられたものが多く、現実と違うことがほとんどなのだが、それでも、自分と比べてしまいがちだ。

友だちの人生にすばらしい変化が起こったと聞くと、数年前から同じことをずっと続けている自分が、どうしてもダメ人間に思えてきて、自分も何か変化を起こすべき時なのではと
つい考えたりしてしまうのだ。

もしかしたら、それがきっかけで仕事を辞めたり、新しいことを始めたりするかもしれない。
しかし、もう少しじっくりと考えてからこうした決断をしたほうがいい。

他人と比較して劣等感を感じたり、うらやましく思い、イライラするのは、誰にでも起こる自然な感情である。しかし、このような感情によって、衝動的に決断したことは大体うまくいかないものだ。その感情の根本が、劣等感や嫉妬といったネガティブな感情だからである。

自分の人生を変えたいと思う時は、心の底から、自分が本当にやりたいと思うことを、
やるようにすることだ。

劣等感や嫉妬は、行動のきっかけをくれるが、それが、道を誤らすことにつながりやすい。
しかし、残念ながら誰もが、自分と他人をどうしても比べてしまう。それは、人と比べることでしか自分自身を計れないからだ。

そして、自分が劣っていると劣等感を抱き、それがひどいと怒りに変わっていく。反対に、自分が優れていると感じると、優越感を抱きそこに価値を感じるようになってしまう。しかし、それ自体は何も意味もなさないのだ。

それよりも、自分が日々どれだけ成長しているかに注意を向けていたほうが幸福になれるだろう。他人と比べることでいいことは全くない。比べるなら、昨日の自分と比べることだ。

クレーマの心の内側

批判をされたり、文句を言われたりするのは、誰にとっても気分のいいことではない。しかし、こうした批判や文句の裏側には、相手の切実な欲求が隠れている。感情的にならなければいけないほどの欲求が、批判や文句となって現れているのだ。

だから、その相手の隠された欲求を理解することができれば、相手の真の心が求めているものが判るし、自分も、余分な怒りをもたなくて済むのである。

批判や文句にただ感情的に反応するのではなく、その後ろにある真実を見つけてみることだ。

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お店などでよく、店員さんに当たり散らしている人を見かける。

このように激しく責める人は、ほどんどの場合、その裏側に強い劣等感がある場合が多いものだ。日頃の生活の中で自己重要感が得られない人ほど、劣等感の裏返しとして他人を責めるのだ。

だから、ほとんどの場合、こういった人は、現在の生活がどちらかと言えば、上手くいっていない人である。はっきり言えば、他人から下に見られがちな人なのだ。

自分に自信がなく、自己重要感が得られない人ほど、劣等感の裏返しとして他人を責める傾向がある。自分を肯定出来て自己重要感が満足されていれば、失敗もただ、指摘するだけで済む。責めるのは、その裏側にある劣等感や自分のことを認められたいという強烈な欲求なのだ。

こうした人を相手にする場合は、まず相手のことをとにかく認めることだ。相手の言葉に真剣に耳を傾け対応することで、徐々に自己重要感が満たされ、落ち着いてくる。このことを知っておくと、クレーマーや理不尽な言いがかりにも対応しやすくなるだろう。

激しく責めるその行為の裏にある、心の底の悲鳴を聞き取ることである。

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