勉強熱心な経営者ほどニーズとウォンツの関係を間違う

勉強熱心な経営者ほどニーズとウォンツの関係を間違う

経営に関して単純な勘違いが、多くの場面で見受けられる。その代表的なものが「ニーズ(Needs)」と「ウォンツ(Wants)」の関係である。まずニーズ(Needs)のほうが先にあるのだ。このニーズこそが、行動のきっかけであって、ウォンツが最初では無いということだ。ここを明確にするだけで、集客を増やしたり、売上を増やすことが効率的にできるようになっていく。(内田游雲)

プロフィール:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、宇宙の法則や社会の仕組みを理解し経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「洩天機-運の研究」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

勉強熱心な経営者ほど間違いを犯す

コンサルティングをしていると、経営に関して単純な勘違いが、多くの場面で見受けられる。特に、経営者が勉強熱心で一生懸命学ぶと、それを現場で間違って使ってしまい、混乱をきたしていることが多いのだ。

その代表的なものが「ニーズ(Needs)」と「ウォンツ(Wants)」の関係である。これは、中途半端にマーケティングをかじった人間ほど間違った理解をしてしまうものだ。

「ニーズ(Needs)」と「ウォンツ(Wants)」に関しては、『近代マーケティングの父』と呼ばれるアメリカの経済学者フィリップ・コトラーが、次のように定義づけている。

ニーズ(Needs)とは、

「人間が生活上必要な、ある充足状況が
 奪われている状態(欠乏状態)のこと」

ウォンツ(Wants)とは、

「ニーズを満たすための、
 特定のモノが欲しいという欲望のこと」

この文章をよく読んでみると解るのが、まずニーズ(Needs)が有ってウォンツ(Wants)が生まれるということである。

ニーズとウォンツのどちらで利用するのか

さて、ここで問題だ。

お客が居酒屋に行くとする。

それは
「ニーズ(Needs)」として行くのだろうか?。

それとも、
「ウォンツ(Wants)」として行くのだろうか?

じつは、これが販売のタイミングを決める時に大きな意味を持っている。

おそらく、多くの人が
「飲みに行きたい(ウォンツ)時に利用している」

そう考えているはずだ。
これは、感覚的には私も同じだった。

「今日は、ちょっと飲みたいな。」

そう思った時に居酒屋さんんを利用していると思い込んでいたのだ。

だから、お客は「ウォンツ(Wants)」に左右されて、購買行動を起こしていると思っていたのだ。しかし、ここに、現実との乖離が存在していた。

数字から見るニーズとウォンツの現実

数字から見るニーズとウォンツの現実

まず、一般的な居酒屋の月別の売上高を見てみる。

売り上げが高い月順にみてみると、12月、8月が圧倒的に売上が高くなる。次が3月だ。さらに4月、5月、1月と続いていく。

では、なぜ、こうなるのだろうか?

居酒屋さんの売上が12月に増える理由・・・
これは、誰でも解るだろう。

そう、年末は「忘年会」シーズンだからだ。居酒屋の一番の稼ぎ時である。この忘年会という絶対的な行事が売上を押し上げているのだ。

次に多い8月は暑い月だ。誰だって冷たいビールが飲みたくなる。「夏」だからだ。さらに、「お盆」などがあり、仕出しなどの需要なども、多くなる月である。

3月は人事異動による「送別会」が行われる。4月・1月も「歓迎会」、「入学式」、「花見」、「新年会」など、やはり、行事が多い月になっている。

居酒屋に限らず、飲食店が忙しい月は「行事」が多い月なのである。これらは、誰もが簡単に理解できることだ。

行事があるからお店は利用される

では、この行事というのは、お客さんにとって、「ニーズ(Needs)」なのか、それとも「ウォンツ(Wants)」なのかということだ。「飲む必要性があるとき」(ニーズ)なのか、それとも「飲みたいとき」(ウォンツ)なのかである。

居酒屋のお客が忘年会を開いているきっかけは、

「今日は無性にビールが飲みたいなあ(ウォンツ)、じゃあ忘年会でもしてみるか」

となっているのだろうか?
 
送別会の為に、居酒屋を予約するのは、

「今日は無性にお酒が飲みたいなあ(ウォンツ)、じゃあ送別会でもやろうか?」

そうだろうか?
そんなわけないのだ。

「忘年会」は、日頃はあまり飲みに行かない人まで含めて、飲まなければならない必要性(ニーズ)に迫られているから、居酒屋は、12月に忙しくなるのだ。これは、すべての行事に共通していることだ。そして、こうした行事が多い月ほど飲食店は忙しくなるのが普通である。

では、反対に暇な月はどうなのだろうか?

一般的に飲食店の暇な月は、2月・7月・6月・10月と言われている。これは、飲食店の売上に影響しそうな行事がほとんどない月である。つまり、売上が低い月は、行事が少ない月だということなのだ。

ニーズが行動のきっかけになる

唯一の例外が7月の鰻屋、2月のお菓子屋さんである。7月に鰻屋さんが忙しいのは、「土用の丑」という行事を作ったからだ。2月にチョコレートが売れるのは、「バレンタインデー」を作ったからだ。

結論として、お客は、

「食べたい(ウォンツ)ときに、飲食店を利用しているのではなく、必要性(ニーズ)に迫られ、飲食店を利用している。」
  
これは、ほとんどの業種に共通して言えることである。

ニーズが行動のきっかけになる

美容院でも、歯科医院でも、洋服店であっても、

「髪を切る必要性」
「歯を治療する必要性」
「洋服を買わなければならない必要性」

こうした必要性が高い時にこそ、お客は、それぞれのお店を利用しているのである。もちろん、あなたの会社やお店も、そのようにお客さんに利用されているということだ。

フィリップ・コトラーの定義をもう一度書いてみると、

ニーズ(Needs)とは、
「人間が生活上必要な、ある充足状況が奪われている状態(欠乏状態)のこと」

ウォンツ(Wants)とは、
「ニーズを満たすための、特定のモノが欲しいという欲望のこと」

まずニーズ(Needs)のほうが先にあるのだ。このニーズこそが、行動のきっかけであって、ウォンツが最初では無いということだ。

ここを明確にするだけで、集客を増やしたり、売上を増やすことが効率的にできるようになっていく。なぜなら、それによって、販売のタイミングを読むことができるようになるからだ。逆に、ここを間違えているために、広告などを頑張って出しても失敗してしまうことになるのである。

ニーズ(Needs)とウォンツ(Wants)では、まずニーズ(Needs)のほうが先なのだ。

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