お客の深層心理を探る

悩みに対して解決策を提供して金と交換することが商売というものだ。人間の基本的な悩みについて知っておくことで、お客について深く理解する助けになるだろう。つまり商品やサービスを売るということは、言い換えれば、お客の苦痛を開放することである。つまり、ビジネスチャンスとは、お客の悩みや苦痛を解決することに尽きるのだ。(内田游雲)

お客について深く理解する

商売にとって、重要なことは、お客の理解である。

そして、お客の理解をススメていく上で、やはりどうしても避けて通れないことが、人間そのものに対する理解だ。お客、個々の悩みを考える前に、人間の基本的な悩みについて知っておくことで、お客について深く理解する助けになるだろう。

そもそも、人は悩みの解決のために金を払う。悩みとは苦しんでいる状態だから、そこから逃れたいと、金を出してでも解決しようとするものである。

こうした悩みに対して解決策を提供して金と交換することが商売というものだ。つまり、ビジネスチャンスとは、お客の悩みを解決することにある。

まずは、ここをしっかりと理解しておくことだ。

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人間の悩みは大別すれば三つだけ

人間の悩みは、大きく分けて3つしか存在しない。

単純化して考えれば、それだけを理解しておけば難しくはない。

この3つの悩みとは、

(1)金の悩み
(2)人間関係の悩み(恋愛を含む)
(3)健康の悩み

この3つである。

単純化して考えれば、この3つに当てはまらない悩みは、ほとんど無いと言っていい。人間の悩みは、その根本理由をたどっていくと、そのほとんどが、ここに含まれることになるのだ。

悩みとは自分の思うようにならない状態

そもそもの話として、知って置くべきことが、「悩みとは何か?」ということだ。

悩みとは、自分の思うとおりにならない状態のことである。

では、この悩みを無くすことは可能なのかということだが、現実的には、人間の悩みとは、本能に基づくものだから無くならない。一つの悩みを解決したとしても、直ぐに次の悩みが生まれてくるのである。

悩みとは、別の言い方をすれば、恐怖から逃れたいという衝動だ。

自分の思うようにならないことから、未来に対して恐怖を覚え、その恐怖から逃れたい気持ちが悩みとなっていく。そして、この恐怖をたどっていくと、人間の本能に突き当たることになるのだ。

つまり、悩みが生まれる原因は、人間の持って生まれた本能にあり、それは、太古の昔から、人間が身につけてしまったものだということである。

では、この恐怖を無くすことができるかだが、小さくすることはできても、無くすことは不可能である。つまり、生きている限り、全ての人間は、悩みを無くすことができない。

それは、すなわち、無限にビジネスチャンスが存在するということでもあるのだ。

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悩みは5つの恐怖から生まれる

まず、人は、生まれながらにして5つの本能的衝動からくる恐怖に対面している。本能的衝動とは、本能に基づく、突き動かされる感情のことだ。

その5つとは

「飢えへの恐れ」
「孤独への恐れ」
「劣等感への恐れ」
「もてないことへの恐れ」
「無知への恐れ」

この5つである。

このそれぞれが元になる本能に根ざしている。

「飢えへの恐れ」は生存本能
「孤独への恐れ」は群居本能
「劣等感への恐れ」は優越本能
「もてないことへの恐れ」は種の保存本能
「無知への恐れ」は好奇心

こういった本能から生まれてきたのが、それぞれの恐怖心である。

そして、「飢えへの恐れ」から、人は物を所有したり、金を稼ぎ、貯めようとする。
「孤独への恐れ」から、人は友人をつくり、結婚をし、グループに所属する。
「劣等感への恐れ」から、人はブランド品を身につけたり、名誉を重んじる。
「もてないことへの恐れ」から、人は異性にアピールをし、着飾っている。
「無知への恐れ」から、人は何かを学ぼうとし、知識を得たいと願うのだ。

このように、人間の行動のほとんどが、こうした恐怖を元に作られている。

人間は快楽を求める生き物である

一方、人間は快楽を求めるものでもある。
では、この快楽とは何だろうか?

快楽とは、突き詰めれば苦からの開放である。
苦しい状態から開放されると、人は快楽を覚えるのだ。

例えば、あなたが、美味しいものを食べる時に味わう快楽は、その前に、美味しいものを欲するという状態が存在する。つまり、美味しいものが食べたいけれど、食べられないという苦しみである。それを、美味しい料理を口にした瞬間にその欲求が満たされ、快楽に変わる。

つまり、欲求とは、欲しいけど手に入れられない状態であるから、そこに苦痛を人は感じるのだ。そして、そこから開放されると、人は快楽を感じるのである。

苦痛からの開放と快楽は、実はコインの裏表なのだ。

こういったことを理解できるようになると、商品を売るということの本質が見えてきます。商品やサービスを売るということは、言い換えれば、お客の苦痛を開放することである。

そして、このことは、お客自身もほとんど気がついていない。だから、ここをしっかりと伝えることで、商品の本質的な部分が伝わるのだ。

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