小さな会社は小さいことを武器にする

小さな会社は、取るべき戦略も他の会社とは全く違うものになる。大きな会社の戦略が、市場シェアを狙うのに対して、小さな会社の場合には、ニッチ戦略を基本的に取っていく。大きな売上を求めなければ、ニッチが主要なターゲットとなり価格競争をしなくて済む。ここをしっかりと押さえておけば、不用意な設備投資や雇用をせずに、しっかりとした商売をすることができる。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

小さな会社の定義について

気の経営の中心テーマは、「小さな会社の戦略」である。
小さな会社の戦略と言われても、よくわからないかもしれないが、ここで言う小さな会社とは、一言で言うと小規模事業者ということになる。
小規模事業者という言葉も、あまりピンと来ないかもしれまないが、これは、正式な呼称だ。

小規模事業者については、中小企業庁のがHPでその定義をしている。

中小企業庁のHPによる小規模事業者の定義とは、

製造業その他の場合は、従業員20人以下
商業・サービス業の場合は、従業員 5人以下
宿泊業及び娯楽業の場合は、従業員20人以下

これらを小規模事業者と定義している。

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もちろん、ここには、個人事業主も含まれる。
さらには、これから起業したい方も含まれる。
含まれないのは、中規模事業、大規模事業だ。

中規模、大規模の会社の経営は、組織の力を生かしていくものである。
それに対して、小さな会社やお店、個人事業者といった、小規模事業の場合には、個人の魅力を最大限に発揮するビジネスとなる。

こうしたビジネス戦略が「小さな会社の戦略」である。

小さな会社の為の戦略が必要

こうした小さな会社は、取るべき戦略も他の会社とは全く違うものになる。
大きな会社の戦略が、市場シェアを狙うのに対して、小さな会社の場合には、ニッチ戦略を基本的に取っていく。

さらに、組織で戦う中規模や大規模の会社に対して、個人で戦う小さな会社の戦略は、その基本に、社長の人間性が置かれることになるのだ。

つまり、
「私はあなたから買いたい!」
お客から、そう思ってもらうための戦略を追求することになる。

これが小さな会社が取るべき戦略の基本である。
だからこそ小さな会社の社長は、決して手を抜いてはいけない。

部下に任せて、楽をしようと思ったら、その時点でお客にとって、魅力が無くなってしまう。
なぜなら、あなたから買えなくなるからだ。

小さな会社の最大の魅力は、社長の人間性を基に経営が成り立つという点にある。
つまり、お客が社長のファンになり、ファンだから商品を買うという購買行動だ。

少し人を雇って、誰かに任せることができるような、そんな戦略を取ればいいと思うかもしれないが、それでは、大規模な会社と戦略が被り、激烈な争いに発展してしまうことになる。

もちろん、これに良いとか悪いといった問題ではない。ただ経営規模の問題である。
そもそも、小さな会社は、金が無く人材もいない。
これが通常だ。
そうなると、社長は何をすべきかというと全部やらなきゃならない。

従業員いないし、外注しようにも金が無い。
計画もマーケティングもセールスも経理も、これら全てを社長が一人でやらなければいけないのが小さな会社の日常である。

まず、ここを自覚する必要がある。

小さな会社と大手は全く違う

たとえどのような業種であっても、小規模事業の規模であれば、「小さな会社の戦略」を取るほうが経営は上手く回る。
だから、小さいなら、小さいという事を武器にして稼ぐべきなのだ。
そこを自覚して、小さい事を強みに変えていくことである。
そして、小さな会社には、大企業や中規模企業とは全く違う独自のマーケティング方法や考え方が必要になるということだ。

私たちが考える大企業の多くが家内制手工業から今の会社を築いている。
代表的なのが、松下幸之助さんが築いたパナソニックや本田宗一郎さんのホンダだ。
私たちが、会社を経営をしようとするときに、このイメージをどうしても浮かべてしまう。

そして、いつかは自分もそういう会社にしたいと誰もが考えてしまうのだ。

ところが、現代の大企業の作り方は、大きく違ってきている。
現代の大手は、最初から大手で、その最初の大手を作るやり方は、まず、銀行から借入して、さらに出資者も見つけ、企画案を提示して仲間集めたりと優秀な人材をヘッドハンティングする。

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こうして、いきなり大手が出来上がる。
つまり、売上の前に、まず大きな資金があるのだ。
また、そこに投資する投資家たちがいる。
そして、一気に業界地図を塗り替えるといった形になる。
これが、ここ十数年の大企業の作り方だったのだ。

しかし、今はそのやり方が、ネット環境がこれだけ整備されてくると、そんなことしなくても充分にマスにアプローチできるし、意味がないのではないかとなってきたのだ。
社員1000人、売り上げ高100億円という会社と、社員5人、売上げ高1億円の会社だと、通常は、後者のほうが儲かるはずだ。
そうなると「前者のリスクってやばくない?」という話しになる。

こうしてみると、そもそも、会社を大きくする意味がない。
もちろん、雇用をたくさん増やして社会貢献したいという人は、会社を大きくすればいい。
しかし、社員1000人で売り上げ高100億円という会社を作るよりも、社員5人で売上げ1億の会社を複数作ったほうが働く人も豊かになるし、社長も豊かになるし、よほど楽で現代的だ。

小さな会社はゲリラ戦に特化

さらに、大手企業と小さな会社では取るべき戦略が全く違う。
ところが、大手企業の戦略が目に見えるので、小さな会社の社長もどうしても同じことをやろうとしてしまう。
そして、見た目も、そのほうがかっこいい。

しかし、小規模事業者が取るべき小さな会社の戦略は、弱者の戦略であり、徹底したゲリラ戦となる。
かっこ悪い戦い方だ。
そもそも、ゲリラ戦では、その戦略が目に見えるようではダメである。

ライバルの気づかないところで、着々と商品を売っていくのがゲリラ戦だ。
ゲリラ戦は、見えたら負けである。

見えた時点で真似されて、資金力のある所に真似されて負けてしまうことになる。

だから、小さな会社を経営するためには、どのようなサイズで、どのような戦略を取るかを明確に自覚しておく必要がある。
まず、ここのところを押さえておかなければ決してうまくいかない。
その為には、小さな会社独自のマーケティングやセールス手法の知識が絶対的に必要になるのだ。

もちろん、これら全てが最初からできる人はいない。
足りないところは、常に勉強していかなければ会社が潰れることになる。
だから、小さな会社の社長は勉強熱心であることが必須条件になる。

小さな会社は大きくしない

そして、小さな会社は、たとえ儲かっても、大きくすることを目指さないほうがいい。
簡単に言ってしまえば、大きくしようとすると、価格競争に巻き込まれやすくなるからだ。

会社を大きくすれば、大きな売上が必要になる。
そうなると、商品を大量に売ることが必要になり、その結果、商品がコモディティ化して価格競争になっていく。
多く売ろうとして、最も多い顧客層をねらうと、商品に特徴がなくなり、価格競争となってしまう。

一度価格競争に入ると、中国などの低価格商品を大量に提供する相手との競争になり、強みを失ってしまうのだ。

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このいい例が、最近の家電メーカーの失敗だ。
大手ですらこうなる。
これを小さな会社が真似をしたら、地獄へ一直線となる。あっという間に潰れてしまうことになるだろう。

しかし、大きな売上を求めなければ、ニッチが主要なターゲットとなり価格競争をしなくて済む。
さらに、インターネットのおかげで、ニッチ層にリーチしやすい状況が出来上がっているからこれを利用しない手はない。
ここをしっかりと押さえておけば、不用意な設備投資や雇用をせずに、しっかりとしたビジネスを築くことができる。

ところが、いざ起業をして少しうまくいくと、社長はどうしても夢を見てしまう。

「いずれは大企業にしたい!」
これが、失敗のもとになる。

だから私たちは、目指すビジネスの型をしっかりとイメージしておくことが必要である。
現実をみれば、息の長い小さな会社を作ることが、最も賢い選択になるはずだ。

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