経営の為の基本思考法5W1H

経営していくうえで、基本的な考え方の道筋がある。汎用的な思考方法のポイントである「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」「いつ」を目が回るほどぐるぐるまわしていくことだ。これを知っておくだけで、迷路に迷い込むことなく、経営について考えることができる。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

5W1Hを基本に考える

商売を経営していくうえで、基本的な考え方の道筋がある。これを知っておくだけで、迷路に迷い込むことなく、経営について考えることができる。

商売のアイディアは、だれでも結構思いつくものだ。しかし、そこから現実の商売にしていくときに、やはり、いくつかのハードルを超えなければならない。ここができないから、小さな会社の経営者は失敗をするのだ。

この時に考える汎用的な思考方法のポイントは、
「5W1H」
そう、文章を書くときなどに使われるアレだ。

ただ、このうちの「Why」(なぜ)は、 何をするかを考えるときに使うので、現実に商売を構築する時には「4W1H」となる。

最初の「What」(何を)

5W1Hで、最初に考えるのは
「What」だ。
何をということである。

どのような商品やサービスを売るかということだ。
ここをはっきりさせるには、最初は自分が提供できるものをリストアップすることから始める。

「自分は何を売ることができるのか?」
ということだ。

この時に、その商品やサービスを自分が持っていなくても大丈夫。仕入れてきてもいいし、誰かと組むことで、自分の持っていないスキルを提供することも可能だ。

まず、とっかかりはここからだ。
そして、これはとりあえず決めてしまうことが大事だ。

「売れないかもしれない」などということは、この段階で考えるべきではない。
まずは、売る商品を一つ決めてみる。
そうすることで、次の段階に進める。

「Who」(誰が)

何を提供するのかが決まったら、次は「WHO」(誰)だ。
その商品を買ってくれるのは、どんな人なのかを考える。

この時に、なるべく具体的な人をイメージしたほうがその後がうまくいきやすい。
たとえば、「田中さん」とか「山口さん」などといった、じっさいに、自分の周りにいる人物を考えてみえばいい。こうすることで、どんな人が、その商品のお客になってくれるかが見えてくる。

こうして、お客をイメージした時に、たいてい、最初の「What」が違っていることに気がつくことになる。この時は、また「What」に戻る。

一度決めたからといって、それに拘る必要は全くない。
商品を決めて、お客をイメージしてみたら、そのお客には別のものが必要だと思えたら躊躇せずに商品を変えればいい。
どうせ思考段階なので自由に変えることができる。

こうして行ったり来たりしながら、何を誰に売るかを見つけ出していく。

販売者のこだわりはお客にとって価値はない

「Who」という質問を明確にしたらニーズが見えてくる。
そのニーズを元に、商品を変えていく。
ここは、柔軟に考える必要がある。

よく、「こだわりの商品」などという言葉があるが、あれは、単に商品コンセプトに過ぎない。
実際には、ニーズに合わせて「こだわりの商品」というコンセプトを打ち立てたということだ。
販売者のこだわりなど、お客にとって何の価値もないことを知っておいたほうがいい。大事なことは、その商品をお客が欲しいと思うか、思わないかだけだ。

「Where」と「How」

「何を」「誰に」というところがほぼ決まったら、次は、「Where」と「How」だ。
つまり、「どこで」と「どうやって」である。

「どこで」とは、実際に売る場所や所品を使うシチュエーションだ。
その商品をネットを使って売るのかリアル店舗を使って売るのか?
また、営業マンがいて売るのか?
売る場所であればこういったことになる。

また、お客の視点からはその商品をどこで使うかも、考えてみることは必要だ。それによって、商品の価値も見えてくるだろう。

さらに「どうやって」という部分はそのより具体的な手法となる。
店舗で売るのか?
対面で売るのか?
メールで売るのか?
サイトで売るのか?
ブログを使うのか?
集客方法はどうするのか?
こうしたスキルの部分である。

商品で考えるならば、その商品の使い方となる。

全体を把握できる人は、なんとなく理解できると思うが、この、「どこで」と「どうやって」は、「誰に」と「何を」に影響を与える。

つまり、ここで、また整合性を取らないといけなくなるのだ。

ズレていた場合には、また「誰に」と「何を」に戻る必要があります。
このように、「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」は、互いに影響しあって単独では成り立たない。

そこで、商売を考えるときは、これらをぐるぐる行ったり来たりしながら構築することになる。

「When」(いつ)

さらにもうひとつ「When」(いつ)が残っている。
これは、タイミングだ。
その商品はいつ使うものだろうか?
商品やサービスによっては、ニーズが変動する。
当然ながら、このニーズに合わせなければ商品は売れることはない。

そこで、この「いつ」も考慮に入れる。
こうして、「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」「いつ」
これらを、ぐるぐる回して思考して行く。

一つの要素が変わると、他も変化する。
常にそれを意識しておくことだ。
こうして、何度も考えて全体をを構築していく。

「Why」(なぜ)は動機

「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」「いつ」を、ぐるぐる回して、商売を組み上げていくが、その時にに、もう一つの「Why(なぜ)」に注目する。
やっと、「Why(なぜ)」が出てきた。

さてこの、「なぜ」というのは、なぜその商品をお客は欲しいと思うかだ。
つまり購入の動機づけである。

さらに、あなたの「なぜ」も大事だ。
なぜ、その商売をやるのか?
という一番の基本の部分だ。

あなたが、「なぜ」それをやろうと思ったのか?
そうしたいと感じたのか?

これは、言ってみれば、あなたが、どんな人生を送るかということだ。
仕事というのは、人生のかなりの部分を占める。

おそらく、ほとんどといってもいい。
だったら、その仕事を何のためにするかということを、しっかりと、確認しておく必要があるのだ。

商売を構築している時も、この「なぜ」から、外れないようにしていく。
「こっちが儲かるから」とか「これがいいと聞いたから」では、結局、つまらない人生を歩むことになってしまう。

中心はあくまでしっかりと持った上で、「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」「いつ」を目が回るほどぐるぐるまわしていくことだ。

これが商売の秘訣ともいえる思考法である。

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