フローと自我

スモールビジネス戦略とは、ただ小さいお店や会社の為の戦略ではなく、商売にフロー状態をもたらす為の特別な戦略でもある。経営者の自我が成長して軽くなると、空気のようなマネージメントになっていく。そして、自我の成長は商売をフロー状態をもたらすことにつながる。経営者の人間性こそが、その商売の成否を決める最も重要な部分なのだ。(内田游雲)

profile:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「洩天機-運の研究」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

自我の肥大はフロー状態から引き離す

フローを目指して内発的動機に従い行動して、せっかくフロー状態に入ったとしても、それによる成果が自我の肥大を引き起こして、フロー状態から離れてしまう。

【参考記事】:

それでは。人はなぜ自我の肥大を誰もが起こすのだろうか?

自我には、自分の身体だけを支配するのでは飽き足らず、際限なく拡大しようとする欲望があり、なるべく多くの他人を自分の支配下に置こうとする性質を持っている。

今の社会では、クリアな目標を確立してそれに向かって努力する生き方が求められている、その方向性と自我の特性は同じルーツから出ている。したがって、人は社会の中で活動を強めると自我の肥大に陥っていく傾向が強くなっていく。

もちろん、自我の肥大は、すべてが悪いわけではない。危機的状況のときは、トップダウンのマネージメント、強力な支持・命令で組織をコントロールするワンマン型のマネージメントが、有効に機能することが多いのも事実だ。

内田游雲の発行する【気の経営-メルマガ編-】(無料)はこちらから

自我の肥大はワンマン管理型となる

しかし、自我が肥大すると、経営にももちろん大きく影響することになる。

それは、経営者の自我が肥大するとどうしてもワンマン管理型のマネージメントになってしまうからだ。自分がすべてを把握していなければ気が済まず、自分の思い通りに物事が進まないとイライラする経営者だ。よく言われるワンマン型と呼ばれる経営たちである。

ワンマン型だとリスクを恐れずにすばやい決定ができるため、たとえ間違った決定でも、何も決定をしないことより、ましなことも多い。

本来、企業の運営は全員が全速力で走っている状態を保つことが最も重要である。だから、ワンマン型経営の場合、方向は間違っているかもしれないが、とにかく組織のスピートを保って走らせることができるのだ。

しかし、自我が肥大していると、特に危機的状況でもないのに隅々まで自分の思い通りでなければ、気がすまなくなっていく。

部下は皆、上を向いて疲れきった状態になり、そして、自我の肥大した経営者は、「何でうちは、こんなボンクラが多いんだ」と嘆きながら、ますます組織の支配に精を出すことになる。

実は、自分自身の態度が部下をボンクラに仕立て上げていることに、自我の肥大している経営者は、一向に気がつかない。

これが経営者の自我が成長して軽くなると、空気のようなマネージメントになっていく。自害の肥大が経営を硬直化させるのに対して、自我の成長は商売をフロー状態をもたらすことにつながる。

つまり、経営者の人間的成長なくしては、商売がフロー状態に入ることは難しく、特に小さな会社の経営においては、経営者の人間性が最も大きく成果に直結していくことになる。

古くから言われ続けてきたことではあるのだが、経営者の人間性こそが、その商売の成否を決める最も重要な部分である。

スモールビジネス戦略はフロー戦略

さて、ここでスモールビジネス戦略に話を戻してみよう。

そもそも、スモールビジネス戦略とは、「自分の使命や生きがいから創造する経営戦略」である。「好きなこと」だから、時間を忘れて没頭できるし、「やりがいを感じている」から楽しく生き生きと仕事ができる経営戦略なのだ。

さて、これをもう一度よく見てみると、これらの条件は、商売がフローに入る条件、それはつまり、運がよくなる条件ということです。

このスモールビジネス戦略の定義を発表した時には、多くの反論があがった。これまでの近代的で精巧な経営手法から見れば正反対だったからである。しかし、人間でも組織でも、合理性からはみ出した部分は、合理的な部分に比べて、はるかに大きく、大切で、本質的なものだ。

それは、人間も組織も、そもそも合理的な存在ではないからである。だからこそ、合理性を超えたところにこそ商売の正解がある。

スモールビジネス戦略とは、ただ小さいお店や会社の為の戦略ではなく、商売にフロー状態をもたらす為の特別な戦略でもあるのだ。

関連記事

  1. 売り手市場を作り出して売ることが重要

    小さな会社が儲かる方法

  2. 少ない予算でテストを繰り返して「売る」練習をする

    少ない予算でテストを繰り返して「売る」練習をする

  3. 小さな会社の社長は最初に哲学を語れ

  4. 現実社会の経験が強み(USP)になる

    現実社会の経験が強み(USP)になる

  5. 結果を導く成功の方程式

    結果が出る成功の方程式

  6. 無理にイノベーションを起こす必要はない

    無理にイノベーションを起こす必要はない

error: Content is protected !!