気の経営

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内田游雲（うちだ ゆううん）

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めてスモールビジネス経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究－洩天機－」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営（メルマガ編）】も発行中（無料）

中小企業や個人事業のような小さな会社の経営には、「情熱」や「信念」がとても重要になる。

非常に抽象的な話なのだが、小さな会社というのは、社長がそのまま会社の顔である。その顔を中心にしてビジネスを組み立てることが経営の前提である。

社長が会社やお店の顔とは、決して珍しいものではない。むしろ、戦後の日本の復興を支えてきた名経営者たちは、そうだったと言える。松下幸之助、本田宗一郎といった、伝説の名経営者は情熱と信念を持ち、会社の顔として経営を行ってきたのだ。

しかし、会社が大きくなるとともに、その中心にあるものが、どんどんと薄まっていくことになる。いまのパナソニックやホンダを見て経営者の顔が浮かぶ人は、おそらくいないだろう。会社が大きくなればなるほど、経営者の顔は見えなくなっていくのだ。

会社を経営した事がある人は解るだろうが、会社というのは生き物なである。身体が小さいうちは、社長の意思がすべてだ。社長が、実現したい世界の為に仕事をしていくものである。しかし、大きくなるにつれて、勝手に独自の方向へ進みだしていく。最初は社長（創業者）の情熱と信念を中心にしたビジネスだったのが、社長の意思とは関係なく、多くの人の思惑で動き出してしまうのだ。

さらに、株式を上場したりすると、会社はもはや、株主のものとなる。こうすると、その動きは市場原理や投資家の思惑に左右されて、当初の姿を失っていくことになる。これが、現代の日本の企業の姿だ。

会社が小さいうちは、こうした社長の情熱が、そのままお客に伝わっていく。強い情熱や、信念は、お客を共感させ、感動させてる。つまり熱意は、人を動かすのだ。そして、それがそのまま、お客の購買行動につながることになる。

さらに、これは、お客に限ったことではない。熱意は、従業員がいれば、従業員を、取引先があれば、取引先を動かすのだ。

ところが、最近のマーケティング理論や、経営に関する本を読んでいると、どうしても理屈が中心になってしまっている。

もちろん、理論は大切だが、それよりももっと大きな部分が、この「情熱」や「信念」なのだ。

実際のところ、「情熱」と「信念」は、理論を超えていく。起業する時には、全ての社長が、強い「情熱」と「信念」を持って始める。

「何が何でも、成功するぞ！」

こうした強い感情に動かされて起業している。この、言葉では表現できない熱量が、顧客を惹きつけ、売上につながっているのだ。

しかしそれが、時間と共に薄れていく。

なんとなく、
「これくらいでいいかな」
そう、考えてしまうのだ。
その結果、経営状態が下降線となっていく。

経営の問題を解決する時に、起業時の「情熱」と「信念」を取り戻すことができれば、それだけで、たいてい業績は回復していく。こうした、理論だけではない世界が、ビジネスの世界には存在するのだ。

社長の「情熱」と「信念」は、顧客を惹きつけ、ファンにしていく。そのことで、さらに創造的なアイディアを得ることができ、ビジネスが良い循環で回っていくようになるのだ。

ビジネスをやる上で、お店を繁盛させる上で、そして、会社を経営する上において、経営理論や、マーケティングの知識、そして、セールステクニックといったものは、絶対に必要になるが、一番大事なのは、経営者の心の底に流れている、マグマのような熱い「情熱」と「信念」である。

全ての理論やテクニック、ノウハウなどは、この「情熱」や「信念」があってこそ、初めて効果が上がる。

もし、あなたが、経営に問題を感じる時があれば、最初に、自分の心の中の「情熱」と「信念」を見直してみればいい。そこに、大きなヒントが隠れているはずだ。