拡大を選ばずに継続を選ぶ

老舗と言われるところは、拡大を選ばずに継続を選んだ会社である。そこには、自分の仕事に対する確固たる自信と信頼がある。商売の目的は人を幸せにすることだと私は思っている。商売の繁栄は、どれだけお客や取引先の人を幸福にしたかに比例するのだ。大きな商いをすることが偉いのではない。周囲の人をどれだけ幸せにしたかが、商売の評価となるのである。(内田游雲)

profile:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「洩天機-運の研究」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

長続きしている会社

日本には、長続きしている会社が数多くある。

数百年程度の歴史の企業はざらで、東京商工リサーチによれば、100年以上存続している企業は15,000社を超え、個人商店まで含めると10万社以上になると言われている。

世界最古の会社と言われる金剛組は、1,500年以上だ。これらのほとんど大企業ではない。会社を拡大すればするほど、環境の影響をもろに受けるようになる。だから、大きな会社ほど、長続きしにくくなる。

もちろん例外はあるが、老舗と言われるところは、拡大を選ばずに継続を選んだ会社である。そこには、自分の仕事に対する確固たる自信と信頼がある。

しかも、これらのほとんどが、グローバル企業ではない。ある意味、拡大を目指さないスモールビジネス戦略はいたって日本的なものといっていい。

ところが、経営者はどうしても拡大したくなる。もっと会社を大きくしたいという欲望に駆られてしまうのだ。その結果、世の中の変動に耐えきれず、最終的に大手に買収されて子会社化していくことになる。

これは、老舗の商売であっても同じことが起きる。

最近でも、私の周辺で2社が大手に吸収合併されている。商売というのは、トーナメント線のようだ。眼の前の相手に勝利しても、次に出てくる相手は、より強くなってくる。そして、最後には、巨大な相手に食われて、残念ながら多くの老舗が消えていっている。

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商売の目的は人を幸せにすること

商売の目的とは、そもそも何だろうか?

もちろん利益を出すべきことは間違いない。しかし、それだけではないのだ。これを一言で言うと、「人を幸せにすること」だと私は思っている。

これは、決してお客だけのことではない。

一番最初に来るべきは、まず自分である。そして家族である。その次に従業員や取引先などだ。そしてその先に、従業員の家族や、取引先の家族まで含むことになる。

商売の利益とは、与える価値と等価交換になる。その価値とは、究極的に言って、相手を幸せにすることだ。物を買ったり、サービスを受けたりすることで、お客の幸福度が増すことで、その対価として利益がもたらされる。

商売の繁栄は、どれだけお客や取引先の人を幸福にしたかに比例する。だから、下請けをたたいて、自分の会社だけが儲かるようにしている会社は、結局は、どこかで駄目になっていく。

長期間利益を出し続ける商売は、誰かの犠牲の下に成り立つのではなく、多くの人の幸せの上に成り立つのだ。このことを忘れたまま、利益を求めたとしても、それは、一時的に儲かるかも知れないが、必ずおかしくなっていくことになる。

どれだけ周囲の人を幸せにできるか

商売を長続きさせたければ、どれだけお客や周囲の人を幸せにできるかを目指していけばいい。小さな会社の社長ほど、ここを目指すことだ。

小さな会社の社長は、株主の為に働く必要はない。まずは、自分と家族が儲かって幸せになる為に一生懸命働けばいいのだ。

商売を無理して大きくする必要もまったくない。社会に貢献する前に、最初に自分や家族に貢献するべきである。自分の為に、自分の家族の為に、必死で経営をすればいいのだ。商売の原点はここにあるはずだ。

大きな商いをすることが偉いのではない。周囲の人をどれだけ幸せにしたかが、商売の評価となるのである。社会の為にとか、世の中の為になどと考えなくていい。すべては、そこからである。

小さな会社は、株主のご機嫌など伺う必要はないのだ。

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