集客の優先度を知っておけば儲かるようになる

予算配分を変えれば問題を解決できる

多くの会社が目先の事だけを考えて新規客で売上減を補おうとする。1年、2年と経つうちに、その方法では、儲からないどころか、経営そのものが成り立たなくなる。集客の優先度は、(1)既存客を減らさない。(2)休眠客(過去客)を呼び戻す。(3)新規客を増やす。この順番である。(内田游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングや人生のコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトのテーマ「気の経営」とは、この世界の法則や社会の仕組みを理解し、時流を見極めて経営を考えることである。他にも運をテーマにしたブログ「運の研究-洩天機-」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

1回きりのお客がほとんど

『集客の極意は依怙贔屓(えこひいき)にある』の記事では、既存客のうち、上位にいる「ファン客」「得意客」についての話だったが、その下に位置する、「浮遊客」「お試し客」について、ここでは、少し説明しておく。

上から数えて、
1~100がファン客
101~300が得意客
301~600が浮遊客
601~1000がお試し客

こうした分類をしたのだが、実際には、この「浮遊客」「お試し客」の割合は、会社やお店によって、かなり変化していく。ここで、問題なのは、この中に、1回きりの顧客が多数存在するということである。この割合は、たいてい50%以上。酷い時には、全体の70%近い割合が、1回きりの顧客で占められている。つまり、かなりの割合でお客は1回きりで終わってしまうということなのだ。

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これは、次のような自分の行動をよく思い出してみれば、すぐに理解できるだろう。

まず、あなたが過去に利用した飲食店を、すべて書き出してみる。近所のお店だけではなく、出先でランチを利用したお店、旅行先でたまたま入ったお店、知り合いから招待されたお店、接待などで利用したお店、こうした、あなたが過去に利用した全ての飲食店を書き出してみる。

あなたは、そのすべてを2回以上利用しているだろうか?

そもそも、そのほとんどを思い出すことすらできなかったはずだ。おそらく、2回以上利用したお店は、多くても過去に利用したお店の20~30%しかないはずである。

では、その1回しか行かなかったお店は、不味かったのでだろうか?

それどころか、ものすごく美味しかった店や、雰囲気のいいオシャレな店もそこにあるはずだ。しかも、それが近所に有ったりもする。そんないい店でさえ、2回も利用していない、1回きりで行かなくなった店が数多く存在するはずだ。満足した店でさえそうなのだ。その中には、評判を聞いて入ったけれども、料理や接客共に最悪だった店だってある。そんな店のほとんどは、2度と利用しないと思い、そのまま1回きりになっているはずである。

さらには、出張先や旅行先で入って店など、多くの店が1回きりの利用で終わっているはずだ。つまり、あなたも、多くの店の1回きりのお客なのだ。

こうして考えてみると、あなたの会社やお店に1回きりの顧客が、半数以上を占めているのも頷けるはずだ。

100回客の存在を忘れない

一方、この反対に、あなたのお店や会社には、100回客が存在する。
例えば、年に10回10年間利用してくれる常連のお客だ。しかし、多くの店では、この常連のお客をほったらかしにしている。なぜかというと、既に定着している常連さんだからだ。

「常連さんは、放っておいてもまた来てくれる。
だから、わざわざ切手代を使ってDMを
贈るのはもったいない。
同じ経費なら新規集客に使いたい。」

こう考えているのだ。

しかし、ここで思い出してほしいのが、5年前にあれだけ来てくれていた常連のお客が、今でも同じ人数や同じ回数来てくれているかということだ。
そんなことは、絶対にあり得ない。常連のお客も間違いなく減っていくのだ。

あなたのお店や会社から、この100回客が1人失客したとすると、この100回客の穴を埋める為に何人の1回きりのお客を集める必要があるだろうか?

これは簡単な話で100人集めなければならない。もちろん、10回を10年だとすると、毎年10人新規客さんを集める必要があることになる。

では、毎年1人の100回客を失客するとどうなるか。
最初の年は10人、
翌年は20人、
その翌年は30人・・・
毎年、たった一人の100回客さんを失うだけで、とんでもない数の新規客を集め続けなければ、会社やお店は回らなくなってしまうのだ。

では、もし、年間10人ずつ100回客さんを失っていたらどうなるだろう。

最初の年は100人
翌年は200人
その翌年は300人
・・・
はたして、補填できるだろうか?

しかし、多くの会社が目先の事だけを考えて、新規客で売上減を補おうとする。1年、2年と経つうちに、その方法では、儲からないどころか、経営そのものが成り立たなくなることは、誰でも、想像できるだろう。多くのお店や会社の売上が落ち込む原因の一つがここにあるのだ。

ここが見えてくると、集客の本質が浮かび上がってくる。この本質を理解することさえできれば、集客に苦労することはなくなる。そして、それは、安定した売上をもたらすので、資金繰りや経営に苦労することも少なくなるのである。

どのお客を優先するかが本質

・売上方程式
【売上=顧客数×購入回数×客単価】

またまた出てきた『あなたの会社を繁盛させる売上方程式』で説明したこの売上方程式。

結局のところ、売上を増やすためには、この顧客数を増やす必要がある。

そして、この顧客数とは、既存客のことだ。
では、どうすれば、既存客が増えるのか?

ここで考えることは三つある。

一つ目は、新規客を増やすことだ。つまり、広告などを使って見込客にアプローチをし、あなたの店や会社を利用してもらうことである。これによって直接的に、既存客が増えていくことになる。多くの店や会社がこれに着手している。たいていの場合、顧客を増やそうとすれば、新規集客にしか焦点が当たらないものである。しかし、実際に顧客を増やす考え方は三つ存在する。つまり、新規集客以外にも顧客の増やし方が存在するのだ。

二つ目の方法は、休眠客(過去客)の呼び戻しだ。あなたのお店や会社を最後に利用して以来、1年以上利用していない顧客達、この顧客達に戻ってきてもらうのだ。じつは、新規客を集めるより、休眠客(過去客)にもう一度利用してもらう方がはるかに簡単なのである。

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ここで、もう一度、考えてみて欲しいのが、あなたが飲食店を満足したのにも関わらず、1回しか利用しないで終わっている理由は、いったい何だったかということだ。

え?
判らない?

そう。理由は「なんとなく」なのだ。
だったら、お店や会社の場所も知っていて、一度でも来たことのある顧客の方が、何倍も来てもらいやすいはずだ。だったら、これを放っておく手はないはずである。

顧客を増やす方法は、これだけではない。休眠客(過去客)を呼び戻すより、さらに簡単で重要な方法がある。そして、多くの店や会社はここを一番おろそかにしていることだ。それが、既存客を減らさないことである。

いくらあなたが、多大な経費を使って新規客を集めようとしても、既存客が減っていては、いつまでたっても顧客の数は増えていかない。1回きり客を100人集めても、100回客を1人失っては、効果が無いのと同じである。

集客の優先度で儲けが決まる

さて、ここに考えが至ると、集客の優先度が見えてくる。

集客の優先度は、

(1)既存客を減らさない
(2)休眠客(過去客)を呼び戻す
(3)新規客を増やす

この順番だということだ。

当然、予算と時間もこの順番で配分していく必要がある。あなたの店や会社は、ちゃんとこうなっているだろうか。もし、なっていいないとしたなら、既存客が流出する可能性が高くなっていることになる。それはすなわち、数年後には、あなたの会社やお店が上手くいかなくなることを意味している。

さらに、既存客の中でも、

(1)ファン客(信者)
(2)得意客
(3)浮遊客・お試し客

この順に優先されなければいけない。そして、ファン客と得意客で、売上の75%を占める。つまり、この人達は、買ってくれる人たちだ。同じ1通100円のDMを出したとしたらファン客と得意客、浮遊客とお試し客、どちらが売れやすいだろうか考えてみればいい。

圧倒的に、ファン客と得意客が、売上が上がるのだ。だったら、そこに金と時間と労力をかけていくことが最優先になるのである。

予算を見れば未来が見える

さて、あなたの会社の予算配分はどうなっているだろうか。予算配分を見れば、あなたの会社の未来が見えてくる。どれだけの予算を、
どのお客を獲得し維持するために使っているのか。それどころか、そもそもお客に関する部分にどれだけ予算を使っているか。ここをもう一度見直してみることである。

そして、もし、間違っていると思ったら、すぐに配分をやり直してください。この予算配分を変えることで、短期間に問題を解決することが可能になるだろう。

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【参考記事】:


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